大阪でフランス・CIC銀行がワインテイスティングイベント ワイナリー17社来日、日本未輸入ワイン約80種
CIC銀行Club International代表 パスカル・ブヴェ氏
同行は東京に事務所を構え、フランス企業の日本進出の支援や日本企業とのマッチングなど、数十年に渡りビジネスサポートを行ってきた。阿須間奈々主席代表アシスタントは開催目的について、「年間を通してワインを紹介する機会があり、案件の数も多く、まとめて試飲できるイベントを考えた。モントリオールやモスクワなど他国での開催実績もあった。今回は日本未上陸のワインを厳選した」と説明した。
午前中のテイスティングセミナーでは、17社の代表者が自社ワイナリーを紹介し、日本ソムリエ協会名誉会長でリーガロイヤルホテルマスターソムリエの岡正治氏のコメントとともに、各社を代表するワインのテイスティングが行われた。
産地の内訳とワイナリー数は、シャンパーニュ3、ロワール1、アルザス1、プロヴァンス1、ブルゴーニュ4、ローヌ3、ラングドック4。各ワイナリーとテイスティングで用意されたワイン、岡氏のコメントをそれぞれ紹介する。
【シャンパーニュ】
▽シャンパーニュ・クヴルール・フィリパー=8.5ヘクタールの畑で、シャンパーニュを代表する3つの品種を栽培。割合はシャルドネ28%、ピノ・ノワール27%、ピノ・ムニエ45%で、様々なブレンドが可能である。テイスティングで用意した「グランド・レゼルヴ」については、「我々のドメーヌを代表するもの。本格的で素直なシャンパンと言える」と紹介。岡氏は「色はとてもきれいな黄金色で粒子が細かい。6年間熟成させて、液体に泡が溶け込んでいるような感じ。やや甘く感じる味わいもいい。アルコール12度と飲みやすい度数で、酸のバランスも良好。蒸し鶏などを勧めたい」と述べた。
▽シャンパーニュ・ベルナール・ロンクラ=「13歳からブドウ栽培に興味を持った。18歳の時に初めてブドウの畑を自分で植えて、19歳で初めて限定で330ボトルのシャンパンの醸造を行った」という代表のベルナール・ロンクラ氏。「現在は10ヘクタールの畑を栽培し、シャルドネを中心に植えている。ブドウ栽培から醸造、熟成に至るまで全体を統括している。当社のシャンパンはアペリティフとしても楽しんでもらえる」と紹介。テイスティングで用意した「ブラン・ド・ブラン・エクストラ・ブリュット」について岡氏は、「シャルドネの繊細な香りと味わいがポイント。とてもキレイな酸が出ている。ホタテ貝のマリネのような柔らかな味わいの料理をお勧めしたい」と述べた。
▽シャンパーニュ・ルイーズ・ブリゾン=「シャルドネとピノ・ノワールのみを使ってシャンパンを造っている。有機栽培に転換し3年目を迎える」と紹介。テイスティングで用意された「シャンパーニュ・レジョンド・ブリュット・ミレジム2005」について岡氏は、「シャンパーニュの王道。エレガントな深い香り。味わい、酸味、アルコール、うまみのバランスの取れた高級シャンパン。シャンパーニュ地方のチーズをいただきながら、このシャンパンだけを味わうのはどうか」と述べた。
【ロワール】
▽ドメーヌ・デュ・プレシス・グレン=35ヘクタールの畑があり、生産しているのは「AOCミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ」と「IGPヴァルドゥロワール」の各種銘柄。テイスティングが行われた「ル・プレシス・グレン‐ミュスカデ・セーヴル・メーヌ・シュ-ル・リー」について岡氏は、「日本料理もいいが、フランス料理ならサーモンのグリルなどを合わせてみたい」と述べた。
【アルザス】
▽カーヴ・ド・リボヴィレ=「アルザスのワイン街道と言われるところのど真ん中に位置する。協同組合で、41人のブドウ栽培業者が会員となっている。ブドウはすべて手摘み。醸造後、3カ月から12カ月シュールリーで熟成して、瓶詰め後もしばらく熟成している」と紹介。テイスティングされた「クロ・デュ・ザナカール2013」については、「アルザスワインは単一品種から造られるイメージが強いが、アッサンブラージュで造られている」と紹介。岡氏は「このワインのポイントはまさしくブレンド。トップ品種を大体3分の1ずつブレンドしているのも面白く、リースリングの爽やかな香り、重い感じのピノ・グリ、バラのような香りのゲヴュルツトラミネール・オスターベルクの香りが出てくる。チーズと合わせてみるといいかもしれない」と述べた。
【プロヴァンス】
▽ドメーヌ・ドゥ・ラ・グランド・パリエール=1990年代に有機農法の認証を受けている。輸出は全体の20%で英国、スイスなどが中心。今後はアジア、日本での販売も目指すとしている。テイスティングで用意された「ドメーヌ・グランド・パリエール・ロゼ」については、「プロヴァンスのクラシカルなアッサンブラージュによるワイン」と紹介。岡氏は、「美しい光沢のあるピンク色で、香りはとてもシンプルでミネラルを感じる。酸はさほど強くはないが、その分飲みやすい。昼から飲めるワインだと思う。魚介類の相性がベスト。スズキの香草焼きのグリルや、寄せ鍋を食べながら飲むのもいい」と述べた。
【ブルゴーニュ】
▽シャトー・ドゥ・ビュファヴォン=「2009年に現在のブドウ畑を購入し、赤と白のボジョレーを造っている。ブドウ園と合わせて民泊施設の運営を行っている。2つの畑があり、合わせて10ヘクタールほど。粘土の石灰質の土壌」と紹介。テイスティング用の「ボジョレー・ルージュ・トラディション」については「伝統的なワイン。収穫は8月末くらいに行い、翌年の春に瓶詰めした」と説明。岡氏は、「イメージとは異なりアルコールが高く、14度を超えている。味わい深い。香りも凝縮感がある。味はドライで飲み心地を感じるワイン。スペアリブなども合う」と述べた。
▽シャトー・ドゥ・ラ・シェーズ=「130ヘクタールの畑があり、ボジョレーで最大級のドメーヌ。設備の充実を図り、ソーラーパネルの設置も進めていく」と紹介。テイスティング用の「ブリュエ」について岡氏は、「ボジョレーの特級のワイン。熟成するとどんどんおいしくなる。グリルした牛肉が合う」と述べた。
▽ドメーヌ・ガヴィニェ・ベタエ・エ・フィーユ=「9ヘクタールのブドウ畑がある。減農薬の栽培方法により、手摘みで収穫している」と紹介。テイスティングの「ニュイ・サン・ジョルジュ《レ・ザテ》」について岡氏は、「ピノ・ノワールの王道。アルコール13度とほどほどで沢山飲めそう。チキンのトマトソース煮込みなども食べてみたいワイン」とコメントした。
〈酒類飲料日報 2019年4月11~12日付〉