ブルックリンブルワリー 2019年戦略 基幹店開店で販売50%増目標、新商品「ブルックリン サマーエール」投入
平岡氏=ブルックリンブルワリーの成功には3つのポイントがある。人生をかけた「起業家精神」、地元からファンをつくり、ブランド発信することで「街・コミュニティ再生」、カリスマブルワーや大物デザイナーら「職人が生む多様な商品」。結果、アメリカのビールシーンを変革した。
ブルックリンブルワリー・ジャパンのミッションは、ブルックリンブルワリーの価値を日本市場に伝え、日本のビールシーンを変革すること。では、どう変えるのか? これまでのビール産業はマスベースでブランドを育成してきたが、ブルックリンブルワリーでは熱狂的なコアファンをつかみ、潜在的なファンにつなげ、フォロワーを増やす。ファンをベースとしたマーケティングで日本のビールシーンを変えていく。そのためにはBeyond Beer をテーマに、あらゆる接点で、ブランドを体験してもらい、ファンをつくる。基本的にはオントレードから。タップマルシェがドライブになる。
また、世界初のフラッグシップ店を都内某所に年内オープン。多様なカルチャーを発信し、熱狂的なファンを生み出すベースにしたい。さらに多様な新商品を続々投入することで、ビールの領域を広げる。
〈米国から見ても「日本のクラフトビール市場のポテンシャルは高い」〉
6月から投入する新商品「ブルックリン サマーエール」についてはブランドアンバサダーのユン・ヘジョン氏が、「ペールエールタイプだが、すっきりとした後味が特徴。夏の日差しの下で飲める味わい。夏限定の商品だが、本国では売上2位。日本ではビアガーデンへの展開も予定。また、レモネードやハーブなどを使ったビアカクテルで新しい楽しみ方も提案する」と話した。
また、キリンビール企画部部長山田精二氏は、日本のクラフトビール市場について、「ブルックリンブルワリー」スティーヴ・ヒンディ氏から見た視点で語った。
山田氏=日本のクラフトビール市場のポテンシャルは高い。その理由は、〈1〉米国以上の拡大スピード:国内にいると鈍化しているように見えるが、実際はアメリカ以上のスピードで拡大している。〈2〉大手とクラフトの良好な関係:アメリカでは大手がクラフトを締め出そうとしたため、クラフトの作り手は業界団体を造って対抗した経緯がある。日本では、地ビール時代から大手とは協力関係にあり、現在も、タップマルシェ、ホップ販売などを通した協調関係が築かれ、共に販路の拡大や品質向上への切磋琢磨を行っている。「一人勝ち」じゃなく、「みんな勝ち」を目指したい。〈3〉配荷の仕組みがある:「タップマルシェ」は、年内13000店目標に向けて順調に拡大を続けており、クラフトが日常に根付きやすい環境になった。
今後も、既存のビールがあった店をタップマルシェのクラフトビール提供店へ置き換えていく。展開においては先入観をもたず、たとえば映画館やブックカフェ、コインランドリーなど、既存のビールは入れなかった業態、対応しきれなかった業態で、新しい価値を提案していく。
ギャレット・オリバー氏も、「本来ビールは多様なお酒。均質なビールは一時的な流行であり、原点に戻った状況」という。多様性がビール市場の拡大をもたらすはず。お気に入りを探す楽しさが、市場を拡大させると確信する。
ユン・ヘジョン ブランドアンバサダー、平岡敬規社長
〈酒類飲料日報 2019年5月24日付〉