大人気“レモンサワー”のイベント続々 「フェスティバル」「グランプリ」「総選挙」、商品展開も活発化

「レモンサワーフェスティバル 2019 IN 東京」の各店舗で提供されたドリンク
5~6年前から酒類業界をにぎわせている「レモンサワー」。始まりは昭和の大衆酒場を模した「ネオ大衆酒場」で飲まれるアルコールドリンクとして人気を獲得、その後ダンス&ボーカルグループのEXILEや三代目J Soul Brothersがこよなく愛するドリンクとして紹介されたことなどがきっかけとなり、一気に若年層から支持されるようになった。

現在では焼酎と炭酸水にレモンを入れるオーソドックスな「元祖系」から、いかにも「インスタ映え」するような見た目やレモンにひと手間加えた「進化系」など多種多様なレモンサワーが市場をにぎわせており、各社も商品のみならずサービスやイベントでさらに盛り上げている。

業務用市場向けの「タカラリッチ」などのレモンサワー向け焼酎商品を近年相次いで発売している宝焼酎は、各地で開催されている日本初のレモンサワーに特化した大型飲食イベント「レモンサワーフェスティバル」への出店を継続している。同社が提供する「100種類のレモンサワー」が楽しめるブースは同イベントの名物企画だ。

同フェスティバルは、今年5都市で開催されており、4都市(東京、大阪、愛知、福岡)での開催時点で合計3万4,454名が来場。4万6,756杯のレモンサワーが楽しまれたという(札幌では7月5~6日開催予定)。

焼酎甲類メーカーの統括団体である日本蒸留酒酒造組合も、消費を盛り上げるため様々なイベントを仕掛けている。今年5月13日から6月17日までの約1カ月間は、同組合のWEBサイト上で「焼酎甲類総選挙2019」を実施した。

同企画は焼酎甲類の中で最も人気の飲み方を決定するもので、「絶対王者のレモンサワー」「政権奪“酒”を狙うグレープフルーツサワー」「女性支持がダントツの梅酒」など、合計56の候補の中から支持したい飲み方を投票できるもの。結果は、8月5日に発表される。

焼酎甲類総選挙2019“候補者ポスター掲示場”(一部抜粋、投票締切済)

焼酎甲類総選挙2019「候補者ポスター掲示場」(一部抜粋、投票締切済)

「レモン」側の動きも活発だ。ポッカサッポロフード&ビバレッジは7月1日から8月30日まで「全国レモンサワーグランプリ2019」をぐるなびと協働し、全国8エリア(北海道、東北、関東、北陸、中部、関西、中国・四国、九州)で開催する。388店舗がエントリーし、443のレモンサワーの中から各エリアでのNo.1レモンサワーを決定する。
 
同社は「この企画を通じて、参加された飲食店から趣向を凝らしたこだわりや、地域オリジナリティ溢れるご当地レモンサワーなどが生み出されることを期待し、さらなるレモンサワー人気の盛り上げと市場拡大を目指していく」と目的を説明する。同社とぐるなびは昨年、一般の消費者からの投票と審査員による審査によってレモンサワーのNo.1を決める「レモンサワーグランプリ2018in関東」を開催し、87店舗の飲食店が参加し、オリジナルレモンサワーのメニューが121件集まった。「新しいメニューを考案出来た。レモンサワー好きのお客様に喜んでいただけた」など、参加した飲食店の約7割に満足される結果となっており、全国にエリアを拡大した今年は、さらに店側も利用者も盛り上がりそうだ。

「全国レモンサワーグランプリ2019」(8月30日まで投票受付)

「全国レモンサワーグランプリ2019」(8月30日まで投票受付)

〈メーカー各社がレモンフレーバーの缶チューハイを展開〉
一方、缶チューハイでも動きが活発化している。宝酒造は、居酒屋で楽しめるレモンサワーを限りなく再現した「極上レモンサワー」シリーズを展開。「元祖系」に近い「瀬戸内レモン」や「進化系」の「熟成漬け込みレモン」「芳醇スパイスレモン」など6商品を展開するほか、新商品「黄金マイヤーレモネード」を7月16日に発売する。
 
大手ビールメーカーも負けていない。アサヒビールは6月4日に炭酸の強さが特長の「ウィルキンソン ドライセブン」から「ドライレモン」「ドライレモンライム」を発売したほか、サッポロビールは「レモンの良いとこ“選りすぐり”」をキャッチコピーとした「レモン・ザ・リッチ」を発売。キリンビールも「氷結」ブランドからキャンペーンの一環として「はちみつレモン」と「氷結ストロング」から「すっぱうまレモン」を発売。
 
サントリーは昨年発売し、スマッシュヒットとなった「こだわり酒場のレモンサワーの素」から派生した缶チューハイ「こだわり酒場のレモンサワー缶」を3月に発売。当社が採用するPOSデータ(KSP-SP社提供)でも発売から上位に食い込んでおり、6月25日には発売4カ月で当初目標(210万ケース・250ml×24本)を達成する見込みとなったため、2倍超となる460万ケースに上方修正する発表を行った。
 
また、3月に外食チェーンなどの料飲店向けに発売した「こだわり酒場のレモンサワーの素コンク」が、料理を引き立てる味わいに加え、冷たいレモンサワーを楽しめるブランド専用タンブラーも好評となり、店舗での扱いが広がっている。2019年末までに取り扱い料飲店数を3万店とするなど活動を強化している。