発売35年の超ロングセラー、アサヒビール「樽ハイ倶楽部」好調の理由とは
もともとは、家庭用向けRTD「Hi倶楽部」の樽詰め商品としてデビュー。発売から35年経過するが、現在でも出荷数量は増加しており、2018年は8%増で着地、2019年1~6月の実績も11%増と好調に推移している。
※RTD=Ready To Drink、チューハイ・サワー等のふたを開けてすぐ飲める低アルコール飲料。
昨年からは「No.1樽詰めサワー」をキャッチフレーズにプロモーションを実施、今夏は新たに開発した「樽ハイスクイーザージョッキ」で、さらなる拡大を図る方針だ。そんな活発な動きを見せる超ロングセラー、「樽ハイ倶楽部」の営業方針をアサヒビール業務用統括部の山根卓也担当副部長とRTDマーケティング部の坂爪貴之担当課長に聞いた。
アサヒビール 坂爪氏(左)、山根氏(右)
〈「レモンサワー」人気が追い風、手軽さと安定した味わいに注目〉
発売35周年を迎えてもなお伸長する理由として、山根氏は「ほのかな甘みとキレが特徴で、食事によく合う味わいを料飲店から評価していただいていることや、“スーパードライ”と一緒に導入していただくお店が大半で、とにかく取扱い店舗が多い。現在は料飲店を中心にレモンサワーが人気を集めており、手軽で安定した味わいのレモンサワーを作ることができる“樽ハイ倶楽部”にも注目が集まっているため、さらに伸びている」と話す。
「樽ハイ倶楽部」は現在、「プレーン」「レモン」「ドライ」を展開しているが、料飲店での取り扱いは「プレーンが圧倒的」という。
「レモンは比較的近畿地方での支持が高く、焼酎ベースのドライは東京の下町で支持されている商品。多少地域性が出るが、基本的には全国的にまんべんなく採用されている。とはいえ、業務用専用の商品という性格もあり、出荷数量の多さと商品の認知度の高さが比例していないのが課題」(坂爪氏)。
確かに「紳士と淑女」のイラストが描かれたポスターが貼ってある料飲店でも「チューハイ」や「レモンサワー」とメニューに書かれていることが多い。
〈「樽ハイスクイーザージョッキ」で認知度向上へ〉
坂爪氏はそのことを踏まえ、「昨年から“No.1樽詰めサワー”と記載したポスターやテーブルテントを展開しているほか、オリジナルスクイーザーと専用ジョッキが一体になった“樽ハイスクイーザージョッキ”を今年の夏から展開し、知名度の向上につなげる。年内に全国2,000店の採用を目標としている」と話す。
山根氏は「樽ハイスクイーザージョッキ」について、「展開前に料飲店の経営者や店長の方にお見せしたが、評判はすこぶる良い。興味を示し採用を決定していただいた料飲店も既にある」とする。
「樽ハイスクイーザージョッキ」は一般的に販促品として使用されるガラス製ジョッキとは異なり、プラスチック製。「スクイーザーとグラスが一体だと、レモンを搾る際に圧力がかかり、割れたり欠けたりしてしまう可能性も否定できない。“樽ハイ倶楽部”は楽しい場を演出するための飲み物。そのようなリスクを徹底的に排除すべく安全性が高いプラスチック製とした」と山根氏。ロゴマークも独自のデザインを採用し、親しみやすさを追求している。
「1軒でも多くの料飲店での採用を獲得し、1人でも多くの消費者の方に、今飲んでいるサワーは“樽ハイ倶楽部”なんだと認知していただくように取り組みを進めていきたい。また、市場のトレンドに合わせた提案を行い、“樽ハイ倶楽部”ならではの展開を進めていく」(山根氏)。
〈料飲店の現場で評価される「樽ハイスクイーザージョッキ」〉
東京・銀座インズに店を構える中華料理店「吉祥」では、2012年の開店以来“樽ハイ倶楽部”を使い続けてきた。今年7月にはアサヒビールの営業担当者の勧めで“樽ハイスクイーザージョッキ”を導入。
同店の後藤敏郎店長は、「サワー類はほとんどの方が“プレーン”か“レモンサワー”を注文される。そのうちレモンサワーの半分は“生レモンサワー”。1杯目から注文される方も最近ではずいぶんと増えた。“樽ハイスクイーザージョッキ”は、お客様から、見た目のインパクトや、自身でレモンを搾って、自分好みの味に仕上げられる楽しさが評判を得ている。これまでは“生レモンサワー”は厨房でレモンを搾って提供していたが、このジョッキであればお客様が搾ってくれるので手間が省ける。しかもスクイーザーがジョッキにぴったりとはまっているため持ちやすく、プラスチック製で軽量。女性の従業員でも提供しやすくなった。実際にまだ導入して間もないが、痒い所に手が届くジョッキだと思う」と評価する。
中華料理店「吉祥」後藤店長
なお、後藤店長に「“樽ハイ倶楽部”と合う料理は?」と尋ねたところ、同店の看板メニューでもある「田舎風鉄鍋餃子」をお勧めしたいとのこと。
実際に樽ハイ倶楽部を用いた生レモンサワーと「田舎風鉄鍋餃子」を試してみた。餡には豚肉の他に白菜やニラを使用しているが、ニンニクは使用しておらず「女性でもランチで安心して食べられる餃子」だという。皮は特注品で少し厚め。両面しっかりと焼かれているためパリパリ感があり、二口目にはもちもち感が楽しめる。あふれだす肉汁や脂と皮が織りなす味わいを十分に堪能したのち“生レモンサワー”を飲むことで、満足感を保ったままいったんリセット。そしてまた次の一口に箸が伸びていき気付けば完食。至福のひと時を体験することができた。
「樽ハイスクイーザージョッキ」に入った生レモンサワーと「田舎風鉄鍋餃子」