イオンリカーがウイスキー事業拡大へ ワインはすそ野拡大に注力、日本酒は980円の純米大吟醸が支持獲得
同社代表取締役社長神戸一明氏は、「日本の酒類市場はRTDへの移行が顕著だが、日本酒・洋酒・ワインカテゴリーを強化したい。目の前の増税だけでなく、2026年10月まで続く酒税増税を見据えた施策が必要だ。これまでのようにビールを主力に据えた商品戦略ではなく、酒税の下がる日本酒や変わらないウイスキーも今後の戦略に大きく影響する。日本酒は日本のワインという位置づけで、伸長する特定名称酒に注力したい」と話す。
具体的目標としては、「現在約15%の自社直輸入ウイスキー比率を来年度に30%まで引き上げる」「現在月間3万本超の実績あるウイスキー販売本数を年間50万本に」「日本酒では年間販売数量30万本」を挙げた。ウイスキーでは、シングルモルトに2,980円と3,980円の均一料金を導入。「シャクルトン」「タナムヴーリン」「ジュラ12年」など新ブランドをクリスマスまでに導入予定。
日本酒では、980円の純米大吟醸が大きな支持を得ていること、「八海山」「越の寒梅」など、酒蔵と正規取扱店契約を結ぶことで安定供給と品質保持に取り組んでいることなどを発表した。
日本酒では980円の純米大吟醸が支持獲得
〈2019年も「ワールドワインフェス」開催、自然派ワインは来年100品目に〉
輸入数量国内4位、家庭内市場で23%のシェアを持つワインについては、ワイン事業部統括部加藤修一氏とブランディングマネージャー藤井香乃氏が、概略以下のように説明した。
イオンリカー 加藤氏、神戸社長、藤井氏
ワインのファンを増やす取り組みとしては、
〈1〉社内100名のプロがブラインドで選ぶ「イオンワインアワード」で6つの直輸入ワインを全店展開、
〈2〉昨年初開催した「ワールドワインフェス」を今年も11月9・10日に天王洲アイルTMMT で開催、
〈3〉RTD感覚で手軽に試してもらえる3本1000円ワインの定番化、
〈4〉ワインへのハードルを下げるシードルベースのイオン限定「ラシャス インフューズド スパークリングティー」2種(アルコール4%)を11月に発売、
〈5〉映画「東京ワイン会ピープル」オリジナルワインとして、チリ「エミリアーナ」が造る「オー グランレゼルヴァ」から「メロウルージュ」「ミストブラン」(各1,780円)を発売。
「イオンワインアワード」で6つの直輸入ワインを全店展開
また、ワイン業界の持続可能性を考え、自然派ワインへの取り組みも強化する。オーガニックやサステイナブル、ビオディナミなど大きなくくりでの「自然派」ワインは現在29品目(全体比率2.1%)だが、年内には38品目(同3.5%)に、2020年には100品目(同10%)に、2025年には200品目(同30%)にまで引き上げる。今年はボジョレーヌーヴォーでも、テラ・ヴィテス認証をとったワインを「トップバリュ」から販売予定。
なお、同社のワイン販売数量は上半期10%の増。この夏も7~8%の増で推移しているという。
〈酒類飲料日報 2019年8月23日付〉