日本酒造組合中央会「飲食店向けおもてなしガイド研修会」開催、インバウンド取り込みで売上に上乗せを
日本酒造組合中央会は8月23日、東京港区の同会内で「飲食店向けおもてなしガイド研修会~How to Guide 英語で接客~」と題したセミナーを飲食店で働くスタッフ約30人を対象に開催した。ラグビーワールドカップの開催に先駆け、日本酒の正しい知識、文化を伝える案内人を養成することを目的としたもの。日本の酒情報館の今田周三館長が「ラグビーワールドカップと訪日外国人について」説明した上で、日本酒コンサルタント・プロモーターでSake On Air キャストの永田まりえ氏、横浜名酒センター店主のブライアン・ハトー氏らが実際の外食店での日本酒提供の知識を基に、英語での接客を具体的な例を交えながら解説した。
日本の酒情報館 今田周三館長
今田氏は、「日本酒に対する注目度が外国人の中で高まっている。日本の酒情報館には年間2,000人以上が来訪する。どこか飲みに行けるところはありませんかととてもよく聞かれるが、紹介できるお店は少ないのが現状」と語り、訪日外国人対応の重要性を説明した。訪日外国人の動向や産業構造の観点から「国としてインバウンドの人々を取り込んでいくのはやっていかなければならない必須の事」と指摘。2011年と2018年を比べると、外国人の数は約5倍へ増加している情勢で、訪日外国人への対応を充実させることで、「仮の話だが、1日5人、1人3,000円、年間300日で450万円の売上になる。工夫し、努力すれば上乗せできる数字だと考えられる」と語り、景気や天候に左右されない要素になると説明した。
ラグビーワールドカップについては、来訪する外国人の属性は、欧米・オセアニアが中心で、長期滞在者が多いという。2週間のオリンピックと異なり、約1カ月半の開催期間から、長期滞在者が多く、必然的に富裕層が多くなる。また、飲酒量が非常に多く、「飲み放題のお店は気を付けないといけない」と語った。そのほか、サッカーのように客席をアウェーとホームのサイドに分ける風習が無く、混ざり合って座るため暴動などが起きないと解説した。
そのほか、訪日外国人が不便・不満に思うこととして、メニューに多言語表記が無く、内容が分からなかった、英語や母国語が話せる店員がいなかった、外観だけではどんな飲食店かわからなかった、メニューに写真が無くどんなメニューかわからなかったなどの声があることを紹介。メニューの英語表記変換方法など、実務に使えるサービスを紹介した。
実際の接客と商品説明のための簡単な英会話では、「日本酒か焼酎をお試しになりませんか?」という導入から、〈1〉日本酒・焼酎とはどういうお酒か〈2〉日本酒の選び方〈3〉お酒のタイプやフレーバーの説明〈4〉お勧めのポイント〈5〉飲み方の説明〈6〉料理・ペアリングについて〈7〉会計〈8〉製造方法・こだわりの紹介〈9〉酒器について――を具体的な例と注意点を挙げながら説明した。
〈酒類飲料日報 2019年8月27日付〉