自民党、新型コロナ対策で酒類関連団体から要望聴取、3月26日までに取りまとめ

〈酒類業中央団体連絡協議会は融資の対象業種の拡大、円滑化、料飲店への緊急融資など要請〉
自民党は3月18日、食料産業政策委員会(林芳正委員長)、農産物輸出促進対策委員会(福田達夫委員長)、日本産酒類振興PT合同会議(林芳正委員長)を開催し、新型コロナウイルス感染症に係る影響とその対応(食品製造業・外食産業・卸売市場・輸出関係)について議論した。団体からの要望聴取も行われ、酒類業中央団体連絡協議会(酒中連)が各団体要望・課題を伝えた。対応内容は3月26日までに取りまとめる。

酒類に関連しては、販売減に対応するため融資の対象業種の拡大や円滑化、料飲店への緊急融資などを求めた。また、議論では、国内ワイナリーの経営安定資金を保証するセーフティネット5号の適用を求める声が上がり、国税庁は対応すると答えている。

冒頭、林委員長は「3月10日に新型コロナウイルス対策第2弾が決定したことを踏まえ、その先を見据え、思い切った対策を打たなければならない。総理の言葉によれば、『今までにない経済対策』を取りまとめることになった。日本産酒類では、清酒に限らず、全ての酒類について振興していく」とあいさつ。

野村哲郎農林部会長は、「政調会長からは、即効性のあるものでなければならないと言われている。従来は財務省と話を進めながら決めてきた。今回は時間的な問題もあり、また財務省と折り合いがつくものだけを出しては従来と変わらない。前例のない対策をご意見いただきたい」と求めた。

酒類業中央団体連絡協議会からは、全国小売酒販組合中央会の吉田精孝副会長が要望を述べ、「新型コロナウイルス感染症の影響を受け、製造・卸・小売・料飲店などに今までにない大変大きな経営的ダメージが生じている。酒類業には中小零細、家族経営が多く、数カ月の経営悪化は即死活問題になる。融資対象の拡大、融資円滑化、緊急融資、つなぎ融資など政府行政によるセーフティネットの早期拡充を求める」ことなどを要望した。

シンガポール、香港、マカオ、マレーシアなどの現地高級レストランに水産品加工品を輸出する久世の堀川貴広海外事業推進部長は、海外の情勢と自社の状況を報告、「現在の状況は、3月以降の注文は全てキャンセル期限未定で延期となっている。グループの売上は鮮魚輸出は30%減少、現地販売店は30~50%減。マレーシアは外出禁止であり、これからもっと増えるだろう。特に日系を対象とした飲食店、日本料理店、観光客向け外食が壊滅的状況となっている。物流には、船便は大きな影響はない。ただ、海外へのクール便は停止している。また、現地販売店から支払い延長を求められ、東南アジアのインポーターからは安全証明書が出せないかといった要望もある」と説明した。

続いて、「今後考えられることとして、4~6月までは売上が出ないだろう。現地販売店も同様のリスクがある。中国からの情報によると、2~2.5カ月たった現在、レストランの開店率は65%、日本食レストランの開店率は45%。今後は、船便を手配できない可能性がある。また、現地販売店の資金繰り悪化によりイベントができない。来月の視察ツアーも中止になる。現地従業員には語学や特殊技能が必要であり、解雇しても同様の人材が確保できるか不透明なため解雇はできない。補助事業への応募予定であったが来年度の計画が立てられないため応募できない」と厳しい現状を説明。

また、海外事業は現在育成中の新規事業で赤字部門のため、国内の事業の状況によって撤退の可能性があるとしている。その中で、「いい食品を海外に輸出していきたい。仕入れ先は中小がほとんどであり、その中で3~4カ月売上が無い。終息したら、再開し輸出拡大するために支援をお願いしたい」として要望を述べた。

要望では、
〈1〉食品を通じた感染が無いこと、日本の対策が進んでいることをアピールする
〈2〉現在売り上げが無い中で、終息後に輸出を拡大するための支援。現地PR活動、招致、開拓費用、輸出費用の補助
――を求めた。輸出事業者、生産者双方の経営継続が可能な支援が必要になる。

〈酒類飲料日報2020年3月23日付〉