「キリン×サッポロ ホップスぺシャリスト対談」開催、“ホップでビールを選ぶ時代に”、日本産ホップからビール市場活性化を図る
第一部「ホップスペシャリスト対談」では、キリンホールディングス飲料未来研究所 杉村哲氏とサッポロビールSORACHI1984ブリューイングデザイナー新井健司氏が登壇した。
杉村氏の考えるキリンの強みは「オリジナル品種の開発、育種から技術開発、消費開発まで一連の流れすべてに関与できるところ。逆に育種専門の部隊がないのは弱み」。
新井氏は、サッポロの強みに関して、「プロがたくさんいることだが、これまでは育種や研究からの提案が多かった。人数が少ないこともあり、ひとりひとりの責任が重大」と述べた。
これからの目標については、杉村氏が「ホップが町や村の誇りになるよう、生産地を盛り立て、日本のビール市場の発展に貢献したいとの思いがある。そこに私が開発したホップやビールが加われば研究者冥利につきる」。
新井氏は、「ソラチエースをもっと多くの方に知っていただき、日本産ホップに興味を持ってもらう流れを作りたい。ゆくゆくは、ワインで言うぶどう品種のように、ビールもホップ品種で選ぶようになれば、ビールはもっと楽しくなると思う」と語った。
今後も、両社それぞれの取り組みで、「日本産ホップ」を通じて、魅力的なビール市場の提案を続ける。
〈日本産ホップからビール市場を活性化、「ホップでビールを選ぶ時代に」〉
第二部では、
〈1〉「スプリング バレー ブルワリー ホップフェスト2020」
〈2〉「ブルックリン ソラチエース」
〈3〉「SORACHI1984」
――の3品を取り上げ、ペアリングメニューと合わせて紹介した。
〈1〉「ホップフェストは、採りたてホップならではの鮮やかな香りとエールタイプの芳醇な味わいが楽しめる、この時期だけのビール。IBUKIの骨格が出るように設計。国産ホップの特徴は、沈丁花や金木犀のようなフラワリーな香り。ボディもあり、戻り香も楽しめる」(スプリングバレーブルワリー ブランドアンバサダー中水和弘氏)。カボチャのサラダとクラッシュアーモンドを乗せたバゲットを提案した。
〈2〉「北海道生まれ・アメリカ育ちのソラチエースは“ビール界の帰国子女”。ブルワーのギャレット・オリバー氏のインスピレーションを大いに刺激した」(ブルックリンブルワリー・ジャパン アカウントダイレクター金 惠允氏)。ハーブに似た華やかな香りにあわせて、缶詰とルーで造る「イワシのカレー煮込み」を勧めた。
〈3〉「世界で認められたホップを日本でも紹介したいと開発。6月には、ソラチエースの契約栽培も開始した。泡を立てながら注ぐと、レモングラスやヒノキなどハーバルな香りが立つ。アフターフレーバーにココナツがあり、乳製品との相性も抜群。クリームチーズやマンゴーに合う。鶏ささみのように淡白なものにも良く、ワサビを添えるとさらに合う。ワサビの海苔巻きとは、驚きの体験に」(新井氏)。
最後は今後のビール市場について、杉村氏が「価格やカテゴリーでなく、好きな味で選ぶ時代になるよう、各社と協力して盛り上げたい」、新井氏が「ビールはおいしくて、おしゃれで、かっこいいと思える商品開発が必要」と結んだ。
〈酒類飲料日報2020年10月22日付〉