「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」発表/日本洋酒酒造組合

「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」を発表(画像はイメージ)
日本洋酒酒造組合は2月16日、「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」を発表した。

「国内外の消費者の適正な商品選択に資することで消費者の利益を保護し、事業者間の公正な競争を確保するとともに品質の向上に資することを目的とする」もので、施行日は2021年4月1日。海外市場へ向けてもHPや各地の生産者団体を通し、英文で発信する。詳細は日本洋酒酒造組合ホームページに掲載している。

〈経緯〉
日本のウイスキーが世界的な評価を受ける中、外国産原酒のみを使用したウイスキーをジャパニーズウイスキーとして輸出販売する、日本の酒税法上ウイスキーとは言えないブランドが海外でウイスキーとして販売されるなどの事例が散見されるようになった。

日本洋酒酒造組合はこれを問題視し、「これまで培ってきたウイスキーづくりの評価を毀損することなく、ジャパニーズウイスキーの定義を明確化し、国内外に明らかにすることによってお客様の混乱を避けるとともに、日本で独自に進化してきたウイスキーの価値を引き続き訴求することで、さらなる業界発展に繋げたい」と、2016年12月から議論を進めてきた。2020年末にまとまった最終案を2021年1月の理事会で承認後、会員に意見を諮り、発表に至った。

制定まで4年もの時間がかかったが、「基準上ジャパニーズウイスキーでないものの中にも、ブレンド技術の粋を極めたウイスキーはある。洋酒業界にとって自主基準を定めるのは本当に必要なのかとの議論もあった。だが、海外原酒を使用したウイスキーをどこまで認めるかと考えると客観的な線引きがしづらく、合理的な説明が難しい。逆に、この基準を満たしていたとしても、品質が良くないものもあるかもしれないが、一般消費者へのわかりやすさを第一に考え、基準を定めた」(同協会)。なお、施行前から販売するウイスキーについての経過措置は2024年3月31日までの3年間。

〈「ジャパニーズウイスキー」の要件〉
第5条に定めた「ジャパニーズウイスキー」の使用基準では、「原材料は麦芽を必ず使用(麹は使用不可)」「国内で糖化・発酵・蒸溜・貯蔵・瓶詰(輸出先でのボトリングは認めない)」「アルコール40度以上」など、世界5大ウイスキーとほぼ同じ要件を定めた。ボトリングを国内限定としたのは、日本独自。また、表示は「ジャパニーズウイスキー」でワンセット。シングルモルト、ピュアモルト、ストレートなどの表現を「ジャパニーズウイスキー」と合わせて使用することはできる。

製法品質の要件

製法品質の要件

 
〈誤認される表示の禁止〉
 第6条では、「日本を想起させる人名や、日本の地名、国旗や元号などの使用」も不可とした。ただし、「海外原料を使用」など、ジャパニーズウイスキーに該当しないことを明らかにする場合は認められる。
 
◆日本洋酒酒造組合ホームページ
 
〈酒類飲料日報2021年2月17日付〉