日本名門酒会 25年目「立春朝搾り」、全国43社から約27万本が出荷
“立春朝搾り”は暦の上では春となる立春の朝に搾りあがった日本酒で、その日のうちに日本名門酒会加盟の酒販店が蔵元から直接引き取り、各店舗で販売する。朝できたばかりのお酒のため新鮮さが特徴のほか、火入れと加水を行わない生原酒のため、生まれたてそのままの、酒蔵でしか味わえないフルーティーな香りと躍動感あふれる味わいを楽しむことができる。
例年ラベル張りや箱詰めなどを蔵元と酒販店が共同で行っていたが、2021年に引き続き新型コロナウイルス感染症拡大防止のため蔵内での作業は取りやめ、近隣の神社によるお祓いも最小限の人数で執り行われた。出荷作業は各酒販店が蔵に来場する時間をずらすことで、集合しない形での実施となった。
近隣の神社によるお祓い 飯沼本家
日本名門酒会の飯田永介本部長は加盟店に対し「全国34都道府県でまん延防止等重点措置が適用され、業務用市場が極めて大きな影響を受けている中、多くの加盟店が新しいお客様づくりをされるなど、受注数を減らさない努力をされたという報告を数多く伺っている。これまでの取り組みに対し、一人ひとりに敬意の念を捧げ、感謝を申し上げる。厳しくも“つながり”を増やすことのできた一年として、その熱量は必ずや次の時代に生きてくると信じている」「“立春朝搾り”に関わるすべての皆様の“笑顔”がこの行事最大の魅力。皆様と笑顔でこの難局を乗り越えたいと強く願っている」とメッセージをおくった。
〈飯沼本家 今年10年目、恒例行事のお酒〉
千葉県酒々井町の飯沼本家では、720ml換算で約1万8,000本を出荷。同社の飯沼一喜常務はことしの「甲子 立春朝搾り」を「フレッシュでフルーティー、そしてキレがある当社のお酒らしい味わいに仕上がった。フレッシュな香りが特徴なのでお酒だけでも十分に楽しめるが、白身魚のお刺身などにもマッチする」とコメント。
また、「立春朝搾り」の取組については「当社では10年目となる取り組み。取引先からも“恒例行事”のように受け止めていただいており、お客様も心待ちにしていると聞いている。立春は二十四節気の始まりの日。このおめでたい日に出来上がった日本酒にお祓いもしてもらい“家内安全”や“商売繁盛”といった思いを込めた。新型コロナウイルスの流行などで不透明な状況は続くが、“立春朝搾り”で少しでも楽しんでもらえればと思う」と語った。
〈一ノ蔵 YouTubeを活用した生配信も〉
宮城県大崎市の一ノ蔵は、同社公式のYouTubeアカウントで、「一ノ蔵立春朝搾り」の上槽、瓶詰、開会式から出荷までの模様を4部構成で生配信した。一ノ蔵は18回目の「立春朝搾り」で、今回は1万9,000本を出荷した。生配信で酒質を確認した同社の門脇豊彦総杜氏は「米のうまさがあり、キレもしっかりしている。加えて芳醇な香りも特徴だ。アルコール度数は昨年よりも低めで軽快な味わい。さっぱりとした料理に合うと思う」と評した。
一ノ蔵 YouTubeを活用した生配信を実施
〈酒類飲料日報2022年2月7日付〉