日本酒“臥龍梅”の大吟醸エキス活用炭酸飲料、「GINJO CIDER」「臥龍梅 Sparkling Soft」静岡・三和酒造×木村飲料 コラボで同時発売
いずれの商品も三和酒造の大吟醸酒「臥龍梅」の酒粕から抽出した「大吟醸エキス」を使用。香料や着色料などを使用せず、大吟醸酒特有の華やかで豊かな香りとともに、炭酸飲料の清涼感やのどごしが楽しめる。開発はふじのくに物産(地域商社)を通じ、マーケティングや商品企画を共同で進めてきたものであり、「地域共創型モデル」として今後も多くの地域の生産者や販売者と連携していくことを目指しているという。
発売日には、静岡市清水区の商業施設・エスパルスドリームプラザで両商品のお披露目会および試飲販売を開催した。
エスパルスドリームプラザ試飲販売の様子
〈スタート地点は「大吟醸粕の有効活用」〉
三和酒造の鈴木克昌社長は今回の取組について「香り高い大吟醸酒の酒粕は黒く変色してしまうことがある。品質上は全く問題ないのだが、甘酒やわさび漬けの原料にはしづらく、有効活用方法を探っていた中で、2年ほど前から甘酒の製造を依頼していた木村飲料から“エキスを抽出し、サイダーにしてみないか”という提案があった」と経緯を説明。
また、三和酒造は「微アルコール日本酒テイスト炭酸飲料」として同商品を発売しているが、その理由を「ビールやRTD、ワインでもノンアルコールドリンクが多く発売される中で、日本酒でも何か新たな提案をしなければならないという想いから“微アルコール日本酒”とした。従来の技術で日本酒の味わいに近づけようとするとどうしてもアルコール度数が高くなってしまうが、これまでさまざまな挑戦を通じて培ってきた技術と、地元企業同士のコラボによって納得できる味わいの商品ができた」と明かした。
「日本酒が選択肢に入らない、たどり着けない方にリーチさせて、まずは気軽に味わってもらいたい」と鈴木社長。そのほかにも「昨今日本酒が敬遠されている原因の1つとしてアルコール分の高さがあるが、同商品で日本酒を割ることで、日本酒らしい味わいは保ちながら度数が低く、非常に口当たりの良いドリンクに仕上げられる。料飲店などで提供してもらえるように働きかけたい」と、割り材としての提案も考えているという。
三和酒造と共に「大吟醸エキス」の開発にかかわった木村飲料の木村英文社長は「通常は香料を使用して香りを再現するが、同商品は大吟醸酒の酒粕から香りだけ取り出して使用している。飲料の製法を応用した技術なのだが、かなり画期的だという自負がある」としている。
〈酒類飲料日報2022年5月16日付〉