日本橋兜町に“どぶろく醸造所”、ブルワリーパブで“できたて”提供、「醸造・発酵を身近に」/平和酒造

平和酒造「平和どぶろく兜町醸造所」
平和酒造(和歌山県海南市)は6月17日、日本橋兜町(東京都中央区)に「平和どぶろく兜町醸造所」をオープンする。同店はブルワリーパブ形式の店舗で、その場で醸造したできたてのどぶろくが楽しめる。

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「平和どぶろく兜町醸造所」開店に際して、アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」で実施した「IWCチャンピオンの酒蔵がどぶろくブルワリーパブ開設!記念どぶろくを限定販売!」プロジェクトでは、目標金額比で875%となる438万円、493人のサポートが集まった。

平和酒造によれば「どぶろくは日本酒の祖先ともいえるお酒で、お米がもつ本来の豊かさ、ふくらみが口の中に広がる」としており、同店ではスタンダードなスタイルはもちろん、果汁をブレンドしたもの、カクテルにしたものなど、様々なスタイルを用意している。「どぶろくを、もっと身近でカジュアルなものとして楽しんでほしいと想いを込めている」(平和酒造)。

また、バーフードには和歌山の名産品を用意しており、和歌山の食卓に慣れ親しんだ鯖寿司や、紀州南高梅を使用したとろりと濃厚な果肉感が魅惑的な梅酒梅チョコレート、和歌山のしらすを贅沢に味わえる、しらすと大根おろし、自家製のごま豆腐に燻製ナッツ、フルーツキムチなどが楽しめる。

平和酒造「平和どぶろく兜町醸造所」提供メニュー例

平和酒造「平和どぶろく兜町醸造所」提供メニュー例

杜氏(とうじ:酒造りの最高責任者)をはじめとする醸造家たちが自ら店舗に立ち、お酒の魅力や至極のペアリング、ここでしか聞けない製造秘話をライブ感をもって伝える。
 
6月7・8日にはメディア限定の内覧会を開催し、山本典正社長が同店設立の目的や今後について説明したほか、「平和どぶろく兜町醸造所」でどぶろく醸造を担当する田村浩貴氏が醸造施設を紹介した。
 
山本社長は「特殊な仕事と思われがちな“醸造・発酵”だが、我々としては“カレー屋がカレーを作る”ことと同じぐらい身近なことだと考えている。サイズ感も一般家庭にあるような機材を使いながら造っているので、当店を通じて“醸造・発酵”を身近に感じてほしい」とするほか、どぶろくを通じて低迷が続く清酒業界の活性化にも意欲を示した。
 
〈汎用機器を工夫し活用、甑と室はスチームコンベクションオーブンを使用〉
「平和どぶろく兜町醸造所」でどぶろくを醸造するスペースは、田村氏によると「おおむね6畳ほど」とかなり小さいが、温度を幅広く設定できる業務用の「スチームコンベクションオーブン」で米を蒸す「甑(こしき)」と、製麹(せいきく=こうじづくり)を行う「麹室(こうじむろ)」の機能を両立しているほか、7Lほどの「寸胴鍋」のような容器を業務用の冷蔵庫に入れることで、「発酵タンク」と「貯蔵タンク」の機能を持たせている。また、「どぶろく」のため酒粕と酒を分離する「上槽」の工程が必要なく「それだけでもかなりスペースを削減することができる」と田村氏。
 
「和らぎ水」として提供する水に加えて、どぶろく醸造で使用する水は和歌山の平和酒造の井戸水を輸送し使用しているほか、米も和歌山県産など原料にもこだわっている。
 
今後の取り組みとして「米、米麹、水だけを使用したスタンダードなどぶろくも様々な検討を重ね、ブラッシュアップを繰り返していく。加えて“その他醸造酒”の自由度を活かし、副原料を用いたどぶろくも製造していく」としており、取材当日はキリッとした苦味と渋みが料理にマッチする「小豆」や、爽やかな香りが特徴の「ホップ」を使用したどぶろくが試飲で提供された。
 
また、山本社長は省スペース性に重点を置いたとしており、「配置や使う機器など、シミュレーションとディスカッションを重ね、現在の形に落ち着いた。また、当店のノウハウは聞かれれば共有していく」と説明。なお、一般客でも参加できる「醸造体験」などを実施する予定はないとしている。
 
〈酒類飲料日報2022年6月17日付〉