[新幹線開業のチャンスを活かしきる]アサヒビール理事北陸統括本部長・北村直樹氏
3月14日に金沢まで北陸新幹線が開通した。ビール4社のうち、アサヒビールのみが地元金沢に北陸統括本部を置いており、地域密着では一歩先行しているといえそうだ。北村直樹統括本部長に、北陸の消費の特徴をはじめ、新幹線開通の地元消費に与える影響や、これまでのエリアでの取組み・今後の活動方針などを語ってもらった。
–いよいよ富山・金沢まで開通しました。これまでの取組みは。
北村 北陸統括本部は金沢支社・富山支社・福井支社を統括し、北陸三県をカバーしている。これから北陸は間違いなく発展するので、社員のモチベーションも上がっている。私は一昨年春から現職に赴任し、そろそろ丸2年になる。2011年3月に九州新幹線が全線開通したときに、鹿児島と宮崎で営業活動を展開する南九州統括支社長を務めていた。そのときの経験を活かして、この2年、ここ北陸の地で、この3月14日まで、種まきを十全に行う活動を行ってきた。それが花開くかどうか、大いに期待しているところだ。
ビールは“最寄り商品”で、毎日ご縁のあるもの。地域密着が極めて大事だ。ビール会社としては、ただ単にビールを売る、というのではなく、地域の活性化に寄与する、例えば全国への情報発信のお手伝いをするといった役割もあるし、我々の大切な仕事のひとつだ。特に北陸が誇る海の幸・山の幸。「食」との連動で大いに貢献したいと思っている。観光客にとっても「食」は、景勝地と並んで観光の大きな目的の一つだ。お酒と食材で一体的に発信していく。
–種まきの活動を具体的に教えてください。
北村 営業ノウハウに関わるので全ては語れないが(笑)、鹿児島のときに、新幹線が開通することによってどういうエリアにお客様が集まったのか、どういうお店が人気になったのか、そういう経験知があった。宿泊施設、観光地、主要駅周辺…。そして、例えば100軒飲食店があったとして、100軒全てが恩恵に預かるわけではない、ということ。恐らくは、その2割が8割分のメリットを取って行く。その2割のところで、弊社の商品を扱って頂いていないと、綺麗な花は咲かないよ、と。これは2年間、社員に口酸っぱく言い続けてきたことだ。
–アサヒビールはビール大手のなかで北陸で唯一、統括本部を置いている。
北村 これはやはり、地域に根差した営業活動が大事だと考えるからだ。北陸は中部圏や関西圏とはまた違う。エリアに密着した営業活動により、お陰様でビールでは大きなシェアを頂いていると認識している。ただし、家庭用新ジャンルではまだ伸びしろはあると考えているので、いかに今まで以上に売上を拡大していくかが今後の課題だ。