「これ以上の酒類卸売免許の付与に疑問」-卸中央会・塩本専務
全国卸売酒販組合中央会の塩本昇専務理事に、業界を取り巻く当面の課題について聞いた。
–昨年、消費税の増税がありましたが、転嫁について問題は生じていませんか。
塩本 昨年4月に消費税の引き上げがスタートし、1年が経ったわけだが、現在のところ、概ね順調に推移している。各地の組合に赴いたときも、特に問題となるような話は出ていない。その最も大きな理由は、消費税転嫁対策特別措置法が成立し、特に転嫁カルテルが認められたことが大きい。当中央会として強力なバイイングパワーをけん制するために、一昨年の秋に酒類業界では最も早くカルテルを締結して公正取引委員会へ届け出た。また、研修を通じてその周知徹底を図った。更に今回は行政当局のバックアップが大きかった。公正取引委員会や中小企業庁においては、転嫁を監視するいわゆる転嫁Gメンが増員された。酒類業界を所管する財務省・国税庁でも転嫁担当官が新たに設けられた。加えて、メディアにおいて行政や業界団体の転嫁に向けての強い取組み姿勢をしっかりと報道して頂いたことも大きい。
しかしながら、平成元年の消費税創設、また平成9年に税率が3%から5%に引き上げられたときには、最初は転嫁がうまくいっていたが、時間が経つにつれ、大手小売業者によってなし崩しにされてきた歴史もある。小売側が卸側に対して、ズバリ「税分を持ってくれ」と言うわけではないが、何らかの名目で実質的に一部負担を求められたようだ。今後とも、気を許さずに転嫁の徹底に取り組む必要がある。