ブームでも現実は減少傾向 経済酒漸減の構図変わらず 14年度清酒出荷

各メディアでブームと言われる日本酒も、全体の数字でみれば減少傾向が現実だ。14年度(4~3月)は全体で5・7%減。ただ、吟醸酒は9・2%増、純米酒は0・6%増で、ここが地酒ブームに結びついている。吟醸酒は特に、仮需の裏の今年3月でも3・4%増を果たした。ただ、いわゆる経済酒が漸減している構図は変わっておらず、経営の舵をどう切るのか、業界全体の課題は続いている。

日本酒造組合中央会がまとめた今年3月の清酒出荷数量は前年同期比12・7%減の4万9368klとなった。前年3月は仮需で11・8%増、全般に動きが鈍くなっており、その沈滞ムードを引きずりながらの仮需反動となった。ただ、それでも吟醸酒が3・4%増(前年3月は22・5%増)と健闘し、純米酒も前年12・6%増から今年は4・7%減に留まった。前年の伸び率以上に落ち込んだのは、本醸造酒(5・2%増→15・2%減)、一般酒(11・4%増→15・1%減)で、構造的な課題はより顕著になっている。その中で、明るい話題として、生酒(2・8%増→1・8%増)の好調さが指摘できる。

主産地は、今年3月はいずれも1ケタの減少で、減少幅を留めたのは京都(13・9%増→3・9%減)、新潟(16・1%増→4・2%減)、千葉(26・6%増→2・1%減)、秋田(17・3%増→2・7%減)といったところ。苦しいのは、兵庫(3・3%増→8・4%減)で、主産地では唯一、減少幅が前年増加幅を上回った。

全体は1~3月で8・1%減で、4月以降どこまで回復できるか。好調な吟醸・純米系で消費喚起を続けて行きたい。