焼酎 オリジナルを競った商品群 基幹商品を改めて訴求

清酒やウイスキー、日本ワインと現在賑やかな酒類もあるが、焼酎は堂々たる日本の國酒である。主な生産地は九州地方で、現地の情報は伝わりにくい部分もあるが、次のブームはいつくるものぞと、虎視眈々と商品の磨きをかけているのが「いま」といえようか。

糖質ゼロ、カロリーオフ、二日酔いしにくいなど、焼酎は健康面でもメリットは多く、飲み飽きしない味わいはファンも多い。ただ、全体の数量をみると、これまで大きなボリュームを支えていた高齢層の需要者が高齢化や景気の影響もあり、絶対的な酒量が落ちていて、人口も減り、酒類にも様々なカテゴリーが増えていることを考えると、消費量全体の減少は構造的なトレンドといわざるをえない。

全体の数字のことをさらにいえば、焼酎は大容量のヘビーユーザーも多いことから、昨年の消費増税の影響をもろに受けた。3月までは大幅増で、4月は大幅減。そして、以降も、なかなか上向かない景気を反映してか、消費は戻らず、年をあければ、前年の仮需の反動がきて、4月を過ぎて、5月連休まで消費の鈍さは消えなかった。

それがようやくここにきて、徐々に戻ってきているという声があちこちで聞かれるようになった。大手の動向をみると、トップの霧島酒造は今年に入って「白霧島」をリリースし、白・黒・赤の3柱を確立し、盤石の体制を築いており、麦の「いいちこ」はコンビニで先行した200mlのカップ商品が好調で、スーパーへの導入も図っている。度数は20度で先行し、昨年9月から12度、25度を投入。カニバリすることなく受け入れられているとし、若年層のスポット買いや12度という新たな飲み方提案の受け入れは、明るい話題といえる。

米焼酎でも、高橋酒造がミラノ万博へ出展し、海外の食通をうならせたとし、同社は小山薫堂氏がプロデュースし、地元熊本の食用米をつかった究極の米焼酎「百」を発売するなど話題も提供している。地元で人気の「銀しろハイボール」は九州から本州へと広がりをみせている。

そば焼酎も、シェア7割を誇る雲海酒造が博多から「そば&ソーダ」を提案し、東京、大阪でもサンプルを配り、飲食店も絡めて提案を強化。「そば焼酎」を知らなかった若年層や女性にも新たな魅力として好評を博している。CMキャラクターを務める吉田羊さんの露出も増えており、「そば&ソーダ」の普及に拍車をかけている。

各原料で話題もあるなか、長期熟成といった高付加価値商品でプレミアム需要を押さえ、芋では「赤芋」を使ったコーナーの設置など、個々に訴求するのではなく、原料にスポットをあてた提案も出ている。霧島酒造、薩摩酒造と原点である白麹をつかった基幹商品を改めて訴求する動きもあるなか、濵田酒造グループが独自の黄金麹を使い、金山跡で寝かせたという新商品「薩摩金山蔵」を投入するなど、オリジナルを競った商品群が出てきている。焼酎はこれから走り始めると期待したい。