歳暮ギフト-国内志向が進む

◎ビールは名産品とコラボ

2015年の歳暮ギフトは「国内志向」が進んだ。大手ビールメーカーが、日本各地の名産品とのコラボレーションを積極的に行っているほか、小売側も地元商品を強化している。近年の中元・歳暮は、世界中から最高級のものや希少価値の高い限定品を集めて差別化する傾向が高かったが、今歳暮では百貨店、スーパーともに、より身近な“ごちそう”の提案にシフトしている。

国内最大級の歳暮ギフト販売額を誇る三越伊勢丹は、大手ビールメーカー各社とのコラボ商品を拡充した。アサヒビールとは「ドライプレミアム」と、高級ホテルやレストランが料理長が監修した冬の美味のセットを用意した。ホテル、レストランは予約サイト「一休ドットコム」が選定した。アサヒビールと一休ドットコムは、同様の企画を東武百貨店の歳暮ギフトでも用意している。

また、三越伊勢丹はサントリーとは、「日本ギフト大賞」の「プレミアムギフト賞」受賞の「ザ・プレミアム・モルツ」と、「都道府県賞」を受賞した日本各地の美味とのセットを企画した。サッポロビールとは「ヱビスビール」を「三越歌舞伎衣装文様」の歳暮ギフト限定缶で用意した。アサヒビールは三越の「天女(まごころ)像」をデザインした限定缶を、サントリーは「天女像」をデザインした栓抜きやビールサーバーとのセットも企画し、両社ともプレミアムビールの売り上げを一層伸ばしたい考えだ。

ビールはギフトの定番だが、法人需要の縮小を背景に漸減傾向にある。一方、プレミアムビールはギフト市場でも伸長を続けている。地方名産品への需要も高まっており、プレミアムビールと名産品をセットにすることで、ビールメーカー、小売ともに、ギフト市場の裾野を広げたい考えだ。

セブン&アイ・ホールディングスは、PB(プライベートブランド)「セブンゴールド」のプレミアムビールをギフトとして用意した。サントリー製造の「金のビール」と「ザ・プレミアム・モルツ」が飲み比べられる詰め合わせはセブン&アイならではのギフトだ。キリンビールが製造する「まろやかエール」は単品ギフトで用意した。

地元志向は地域密着の店舗展開をするスーパー各社が顕著だ。イオンは毎月15日を「じものの日」として、地域ごとに地元商品を積極的に売り込むが、今歳暮は「じもののギフト」と題し、全国を7つの地域に分けてカタログを地域別にした。茨城を地盤にするカスミは「茨城味自慢」として地元の野菜や調味料、菓子などを訴求する。和歌山が地盤のオークワは、近畿大学のマグロなど、紀州産の話題の商品で特徴を出す。

百貨店も地元を強調する。東京・銀座が本店の松屋は、地元の人気レストランに依頼し、パーティ需要に合う限定メニューを用意し、これまで取り込めていなかった若年層の新規開拓を狙う。そごう・西武は同社が展開する地域のご当地クラフトビール21アイテムをギフトとして企画した。