最終コーナーに向けて ビール4社の営業トップに聞く④ サントリー酒類・小島孝代表取締役社長

–今年のこれまでを振り返っていかがですか。
総市場は、1~3月は 昨年の消費増税仮需の裏であり、各社がアンブレラ商品などを発売したにも関わらず苦労した出だしとなり、夏場も冷夏といった天候不順の影響があり、足踏みした部分があった。
当社は3月に「~ザ・プレミアム・モルツ~マスターズドリーム」を発売し、続く中元ギフトが好調、「ザ・プレミアム・モルツ」も順調に推移し、いい形でこれた。
さらに、9月8日に発売したニュースタンダードビールの「ザ・モルツ」。時間をかけて作戦を練って発売、いいスタートを切れた。これらの結果、1~9月の当社ビール類販売は総市場を2ポイントほど上回る前年比1%のプラスとなった。
–「ザ・モルツ」は今年の市場のエポックメイキングになりました。
従来品のリニューアルということではなく、ニュースタンダードということで“UMAMI”を前面に押し出した新商品だ。EXILE TRIBEを起用したCMが当たり、従来のビールユーザーに加えて若年層にとっても「自分たちに合うど真ん中のビール」というコンセプトの狙いが実現できている。最初の引きだけでなく、リピートもいただいており、十分な手応えを感じる。
しかし、本質的に捉えておかないといけないのは「ビールの“味のスタンダード”」が変わってきているということだ。当社が「ザ・プレミアム・モルツ」で継続して活動してきたこともあり、「味わい・うまみ系」がビールの味のトレンドに変わりつつある。過去を振り返ると、まず「苦み系」の時代が続き、次にドライな飲み口の「止渇系」が増えたが、人口構成の変化もあり、いわゆる何杯もビールを飲み続ける人は減ってきている。今後、味の嗜好の変化によるシェアの構造的変化が訪れるとみている。