ボジョレーヌーヴォー解禁、日本向け輸出は微減も「きわめて満足している」
今年も19日0時にフランス産新酒ボジョレーヌーヴォーが解禁となった。ボジョレーワイン委員会会長ジル・パリ氏(写真)は18日、ARC表参道で会見を行い、概略以下のように話した。
「ボジョレーヌーヴォーにとって、日本は世界最大の市場だ。昨年、日本への出荷量は5万5000hl(約730万本=60万c/s)だったが、今年もほぼ前年並みがやや減少と見込む。数量は年々変化しているが、ボリュームは安定しており、さらに日本ではボジョレーヌーヴォーの品質が評価されていることから。この状況にはきわめて満足している。収量は前年の75万6000hlから、2割減の60万hlとなったが、私のところでは前年比半減と、厳しい年だった。それでも、厳しい暑さと歴史的な日照量を得て2009年、もしくは1947年に匹敵する素晴らしいヴィンテージとなった。収穫は8月25日前後だったが、タンニンの存在感とともに、ガメイのフレッシュさが生きた素晴らしいヴィンテージであり、長熟
にも適している」と話した。なお、日本に次ぐ第二の市場であるアメリカも安定した動きだが、東欧やロシアでは数量が減少したという。
今年はサントリーとアサヒビールが前年より増、メルシャンが前年並みを予定。流通系では3ケタの低価格ヌーヴォーが目立つが、一方でプレミアムタイプの需要も活発化しており、ヴィラージュヌーヴォーやノンフィルター、スパークリングにロゼなど、バリエーションも進化している。また、最大手のサントリーは、日本限定商品の3LBIB入り「ボジョレー ヌーヴォー」をラインナップに加え、飲食店でのバイザグラス需要を促進。11年ぶりに受注数が前年超えとなった。明治屋では「おいしい缶詰」とのマッチングを促すなど、ボジョレーヌーヴォーを軸に、「プラスオン」した企画も目立つ。数量だけを見れば、全盛期から半減したとはいえ、ヌーヴォーはワイン業界の一大イベントだ。「ヌーヴォー失速」と一言で片づけるのは簡単だが、せっかくこれだけの知名度があるのだから、ただ手をこまねいていてはもったいない。ヌーヴォーをフックにワインの世界を広げる新たな提案が求められている。