今年の市場を振り返る④ ウイスキー-国産・輸入共に大きく伸長

長らくダウントレンドにあったウイスキーが「ハイボール」をきっかけにV字回復してから6年がたつ。一昨年末から放映が始まったNHKテレビドラマ「マッサン」も追い風となり、これまでウイスキーとは縁遠かった主婦や若年層も巻き込み、市場は急拡大。テレビドラマが終わった後も伸長にかげりは見えない。
最新(8月)の酒類課税数量を見ても、国産・輸入ともに前年比2割増。ビールや和酒では前年割れが続く中、ウイスキーの躍進が目立つ。
一昨年は、テレビドラマ効果で、年間累計では、国内14%増に対し、輸入は2%減と明暗が分かれたが、15年は輸入ウイスキーも勢いを取り戻し、大きな伸びを見せた。最新(10月まで)の輸入通関では、イギリスからのスコッチは16%増、アメリカンウイスキーは37%増。英国スコッチウイスキー協会が発表するバルクを含めた総輸出数量も、9月までの累計で32%増となった。
ただ、ウイスキーは時間が造るお酒である。需要がどんなに好調でも原酒の在庫には限りがあり、すぐに応えられるわけではない。ノンエイジウイスキーの開発が進み、選択肢も広がったが、人気のプレミアムブランドの一部では出荷調整も起きており、悩ましいところだ。
ジャパニーズウイスキーは海外市場でも盛り上がっている。この5年間でウイスキーの輸出は、数量で3倍、金額では6倍にまで拡大。輸出国トップは長らく台湾だったが、昨年はロシアが1位に、そして15年は最新の10月の数字ではフランスが70%増で1位である。通関を見ると、数量で20%増、金額では75%増と、高額品に人気が集まっているのがわかる。