「のどごしオールライト」「ザ・モルツ」など上位に-15年ヒット商品番付
食品産業新聞(1月18日号)は「食品業界ヒット商品番付」をまとめた。注目の東西の横綱には、冷凍食品としては初めての「ザ・チャーハン」と、これもヨーグルトでは初めての「明治プロビオヨーグルトPA-3」を推挙した。消費増税を機に売れ筋商品への傾注が進んでいるが、それでも消費の2極化を反映し、高付加価値商品に好調な商品が多かった。
「食品業界ヒット商品番付」は、主に前年及び前々年後半に新発売しヒットした商品を対象としている。これに加えトレンドを形成した商品群、形態、マーケティングなども選んでいる。
番付編成会議はまず横綱の推挙から始まる。東横綱の「ザ・チャーハン」はシンプルな具材で炒めた香り、味、風味が特徴の600g大容量チャーハン。テレビCMなどプロモーションもかみ合い、冷凍チャーハン市場に新風を吹き込んだ。
西横綱は「明治プロビオヨーグルトPA-3」。4月発売。当初計画に対して、個食・ドリンクタイプ合わせて約2倍の実績。プリン体を気にして生活している人、特に40~60代の男性を中心に「プリン体と戦う」という独自の健康価値が評価された。
大関はビール類と清涼飲料の15年最大ヒット商品。「のどごしオールライト」は「プリン体ゼロ」「糖質ゼロ」に加えて「カロリーオフ」の機能を持った世界初の商品。当初計画を大きく越える550万ケースを出荷し、女性層を取り込むことにも成功した。「ヨーグリーナ」は昨年好調だったフレーバーウオーターの中心的存在。870万箱を販売。
張出大関は東方にチリワイン「アルパカ」。輸入ワインの単独ブランドで年間販売数量100万箱を達成し、輸入ワイン市場を牽引した。合わせてフランスを抜きチリが輸入国ナンバーワンに躍り出る立役者となった。
関脇の「クッキングフラワー」は成熟市場の小麦粉にあって容器・容量などを工夫しクッキング需要という需要創造を実現したヒット商品。「ザ・モルツ」は9月発売ながら年末まで324万ケースを出荷し、今年に期待が持てる大型ビール商材となっている。
張出関脇は流通関連。CVS(コンビニエンスストア)のドーナツはセブン‐イレブン・ジャパンがコーヒーと一緒に購入してもらえる商品として、14年暮れに販売を開始したのが発端。翌15年春にローソンとファミリーマートも追従し、15年夏にはCVS大手3社の大半の店舗に広がり、CVSの定番商品になった。
プレミアムPB(プライベートブランド)は、従来の価格訴求だけのPBでは差別化ができなくなり、来店動機になる商品を持たなくては生き残れないという判断で、スーパー各社が開発の強化を始めた。イオンは15年春からPBの全面見直しに入り、「トップバリュセレクト」の構成比を高めている。ヤオコーも15年はプレミアムPBの開発に重点を置いた。ライフコーポレーションも15年暮れから新PB「ライフプレミアム」を発売した。
前頭に位置する商品はいずれも15年を代表するヒット商品。消費の2極化に対する高付加価値商品が目立つ。また健康、簡便、個食など時代のニーズを具現化した商品も多い。幕尻ながら「GREENS」は野菜の新たな可能性にチャレンジ。「ぐでたま~」はキャラクターを前面に出した斬新な商品。いずれも地域限定など販路は限られるいが、ターゲットを絞って集中するマーケティングの成功例だ。