最終コーナーに向けて ビール4社の営業責任者に聞く③アサヒビール・塩澤賢一常務取締役営業本部長

–消費マインドをどうみますか。

やはり消費者は価格に敏感になっていると感じる。量販店の要求も高くなっている。本来なら商品のご評価やキャンペーンなどで売れ行きが変わっていくことが望ましいのだが。価格による販促は不毛な戦いになり限界がある。業務用でも、5月にガクッと落ちている。これは昨年5月に、外食チェーンなどで高価格のメニュー提案が相次いだが、今年の5月は正反対の価格訴求になった。当社のビールも、外食不振の影響を受けている。

–各カテゴリーを総括していかがですか。

当社の方針は、各カテゴリーでナンバー1をとる、その繰り返しのなかで“総合酒類のリーディングカンパニー”になるということだ。カテゴリーはビール類、その他の酒類、ノンアルと大きく分けられるが、その多くでナンバー1に、あるいはそれを伺う動きになっている。

まず、ビール類だが、1~9月で、前年を超えている。その要因は非常に好調な新ジャンルだ。市場がマイナスのなか、2ケタ近い伸びだ。新ジャンルカテゴリーでは年間第2位の位置を伺うまでになったとみている。「クリアアサヒ」群を年初にリニューアルして、特に「プライムリッチ」は大変大きな売上げになった。新ジャンルのなかの“プレミアム”という位置を獲得しており、またデザイン・味に評価を頂けている。2013年の新発売のときの勢いを上回るという、ビール類ではなかなかない動きになっている。

一方、ビールは課題を残した。「スーパードライ」缶は、1~9月で102%だが、やはり瓶と樽が大きくマイナスした。当社は取扱い飲食店の数が多く、瓶が減るということは、当社の瓶が減るということ。やはり、料飲店で、ビールからハイボール・サワーなど他の酒類に移行していることが大きい。新ジャンルが好調なので、あとはビールがプラスになれば盤石になるのだが。

家庭用では、「スーパードライ」が入っていない小売店はない。となると、いかに店舗で多く購入されるようにするか。“課題解決型営業”の徹底に尽きる。コト販促やキャンペーンは全国一律に行うものだが、各店舗での課題は個別的なものだ。いかに顧客の抱える課題を解決するお手伝いをできるか、これにかかっている。この秋から、再度、これを最大のテーマに取り組んでおり、来年に向けてやり続けていく。(以下、本紙にて)