「JINRO」43年目のフルリニューアル、デザイン一新で透明容器を採用、きっかけは「どういうお酒かわからない」という声
眞露は主力ブランドである「JINRO」の中味・パッケージをリニューアルし、9月13日から発売する(700mlボトルのみ8月23日発売)。1979年8月に発売して以来初めてのフルリニューアルとなる。
今回のリニューアルでは「活性竹炭ろ過」製法で使用する活性竹炭を従来比150%にまで増量し、これまで以上にすっきりとした酒質に仕上げた。また、長年親しまれていた緑のボトルに黄色のラベルを配したデザインを一新し、透明瓶を採用し、ラベルもしずくをモチーフとしたすっきり感を感じさせるデザインとした。
プロモーションでもこれまでの認知度向上に重きを置いた取り組みから、改めて「JINRO」そのものの魅力にフォーカスした情報発信を行うとしており、新たにイメージキャラクターとして女優の吉岡里穂さんの起用も発表している。
〈リニューアルのきっかけは「どういうお酒かわからない」という声〉
発売から43年目の「大転換」となるが、ユーザーの「“JINRO”がどういうお酒なのかわからない」という調査結果からリニューアル計画が始まったという。広報担当者によれば「アンケートでは“JINRO”の認知度は全体の7割程度と高かったが、認知しているユーザーを深堀して調査したところ“名前は知っているが、どういう商品なのかわからない”“アルコール度数が高そう”(実際は25%なのに40%と認知されていた)といった意見が出たほか、実際に飲用しているユーザーも焼酎甲類であることを認知していなかったなど、商品そのものに対しての理解が薄いことが分かった」と話す。
そこで改めて「JINRO」の一番の特徴である「“すっきりとしたクセがない、クリアな味わい”を感じてもらえるパッケージはどのようなものか」、「飲み方、シチュエーションなど、最もおいしく飲んでもらえる方法」を軸とし、ゼロベースで考え直すことにしたという。
パッケージのリニューアルは、社内の年齢・男女問わず部署を超えて幅広く意見交換を行った。実に205案のパッケージデザインを作成し、その都度プロジェクトメンバーで検討を繰り返したという。「緑色の瓶のままリニューアルする案も出てはいたが、目標を達成するためには透明が最適と判断した。少し不安もあったが、すでに取り扱っていただいているお客様からは“すっきりした”“モダンな印象”と良い評価を頂いている」とのこと。「ストレートにすっきり感を訴求できるデザインとなった。新たなデザインでこれまで進出できていなかった業態や領域にも積極的に進出していきたい」と市場拡大にも意欲を示す。
〈和洋中に合う“究極のオールマイティーさ”を訴求/JINRO〉
「最もおいしく飲んでもらえる方法」や「ユーザーの年齢層の引き下げ」は吉岡里穂さんを起用したプロモーションで取り組んでいくという。
「これまでのプロモーションでは、ユニークなTVCMなどで知名度向上を図ってきたが、知名度向上を意識するあまり商品特徴や飲み方などを訴求できていなかった。今回は“JINROで、いただきます。”をコミュニケーションとして設定し、毎日の食卓にぴったりなほどすっきりしていてどんな食事にも合うことを全面に打ち出すこととした。そのメッセージを体現できる方として、料理好きでお酒好きな吉岡さんしかいないと考え起用に至った」(広報担当者)。また、JINROのウェブサイトでは様々な料理と割り方を「餃子=JINRO÷ソーダ+レモン!」といったキャッチ―な表現で説明している。
リニューアルでは「若年層のユーザーを増やす」ということも意識しており、パッケージのシンプルさ、スタイリッシュさや吉岡さんを起用したプロモーションでもそういった視点を貫いている。
最後に「とにかく“JINRO”が何者なのか、わかりやすく世界観を一新させたのが、今回のリニューアルのキモ。割り材を変えれば和洋中何にだって合わせられる“究極のオールマイティーさ”を訴えていきたい」と締めくくった。
〈酒類飲料日報2022年9月13日付〉