「廃校をウイスキー蒸留所へ」「日本酒とクラフトサケの未来を造る」など「Makuake」に酒類関連プロジェクト多数、達成の秘訣とは

「Makuake」酒類関連プロジェクトを多く担当する、キュレーターの鈴木楓氏
「Makuake」酒類関連プロジェクトを多く担当する、キュレーターの鈴木楓氏

アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」によると、2022年に同プラットフォームを利用した酒類関連プロジェクトのうち、岐阜・舩坂酒造店のウイスキー蒸留所設置プロジェクト「飛騨高山の廃校をウイスキー蒸留所へ、学びと笑顔あふれる場所に」が、929人から3762万4000円を集め、応援購入総額・応援購入人数ともにトップとなった。

購入総額で2位は、クラフトサケ協会発足と同時に実施した「6つのクラフトサケ醸造所が挑む、日本酒とクラフトサケの未来を造るプロジェクト」。690人から1071万1500円を集めた。

3位の「至福の一杯 職人が創りだすクラフト・ジントニック」は、ジンもトニックウォーターも手造りで缶入りのジントニックを造るというユニークなもの。4位のプロジェクトも1位と同様に、かつて使われていた建物を製造場に改築するプロジェクト。5位の新潟・佐渡島の5蔵が共同で実施したプロジェクトは清酒では最高位となった。

「Makuake」酒類関連プロジェクト、応援購入総額・サポーター数の上位10プロジェクト
「Makuake」酒類関連プロジェクト、応援購入総額・サポーター数の上位10プロジェクト

Makuakeで酒類関連プロジェクトを多く担当するキュレーターの鈴木楓氏に2022年の傾向を聞いてみたところ「新しい事業にチャレンジするため、当社のサービスを使われる方が多かった。応援購入総額6位の中谷酒造では、日本酒バーを併設した体験醸造ができる小さな酒蔵を新設するためにプロジェクトを実施したほか、家飲み需要が増大したことに合わせて“1合瓶日本酒専門店”の“きょうの日本酒”(応援購入総額10位)の立ち上げなど、これまでにはない面白い工夫を施したサービスや商品が多かった」とコメント。

加えて「これは2022年に限らずだが、“地域活性”という文脈があるプロジェクトは達成しやすい傾向がある。生まれ育った土地、ゆかりのある土地だから応援したいという方はコメントを見ていても多い。応援購入総額上位のプロジェクトを見ていくと、1位の舩坂酒造店や4位の京都の銀行跡でのクラフトビール醸造、5位の「佐渡五醸」などはそういった文脈が入っており、多くの応援購入金額を集めている」とのこと。酒類別での傾向を聞いてみると「日本酒とウイスキーが多め。コアなファンが付きやすいジャンルでもあり、継続的にリピートしてくださる実行者も多い」と話した。

多くの案件を取り扱うMakuakeだが、プロジェクトを成功に導くポイントを聞いてみたところ「まずは“どんな人に買ってもらうか”“なぜこのプロジェクトを実施するか”をページに落とし込むこと。加えてリターンの選定も重要で、最近では商品だけではなく体験や見学などで購入者と実行者が接点を持てるリターンも支持されているようだ」と話す。

ページ制作では「酒類であれば製造工程の写真は必須で、より雰囲気を伝えるためには動画も有効。加えて実行者自身が思いを語ることも重要だ。他にもコアなファンを獲得するためには、プロジェクトを“自分ごと化”してもらうのが最も良い。購入額2位の“クラフトサケ協会”のプロジェクトでは、協会設立にあたって会員を募集したが、“クラフトサケ”を広める当事者として“文化”の起源に携われるという情緒性が多くの応援購入を集めた一因となった」と説明した。「他にもクローズドなFacebookのページを作って情報を発信していくことや、試飲会の開催も有効策」とのことだ。

最後に「酒類業界に注力する理由」を聞いてみたところ「コロナ禍ではさまざまな業界でこれまでの知恵や知識ではどうにもならないことが起こった。特に酒類はコロナ禍前から“若者の酒離れ”が課題とされていたが、コロナ禍でさらに危機的な状況となり、廃業される酒類事業者も増加した。当社では経営ビジョンとして“生まれるべきものが生まれ、広がるべきものが広がり、残るべきものが残る世界の実現”を据えている。日本酒をはじめとした酒類は日本の誇るべき産物であり文化だということで、ビジョン達成のためにも注力している。その結果、日本酒だけでもこれまで500件を超えるプロジェクトが実行されてきた。プロジェクトは実行者とキュレーターの二人三脚で取り組ませてもらうので、ぜひともご相談いただきたい」と語った。

〈酒類飲料日報2023年3月15日付〉

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