「サントリー生ビール」発売、スタンダードビールのど真ん中、「飲みはじめから飲み終わりまでずっとおいしい」飲みごたえ
サントリーは4月4日、「サントリー生ビール」を全国発売する。
350ml・500ml、アルコール5%。希望小売価格は設定していない。店頭想定価格は2022年10月に価格改定を見送った「パーフェクトサントリービール」と同様で、350ml缶で競合品より10円程度安くなる見通し。
4月から12月までの販売計画は300万ケース。「来年、再来年、出来るだけ早い段階で1,000万ケース規模の定番ブランドに育てる」(サントリー)。「ザ・モルツ」は缶は3月製造分で終売、業務用樽・瓶は継続する。「サントリー生ビール」の業務用の展開は、当初テスト的に行い、反応を見極めて展開を検討する。
3月28日には、新商品発表会&新CM発表会を東京と大阪で開催した。
サントリー取締役常務執行役員ビールカンパニー社長・西田英一郎氏は開発の背景を述べた。「ビールカテゴリーは、2020年の酒税改正で伸長し、2023年10月の2回目でまた追い風が吹く。2023年は、ビールカテゴリーにマーケティング投資を徹底集中する。2021年のパーフェクトサントリービール、2022年のビアボールと、昨今の酒離れ、ビール離れにチャレンジしてきたが、満を持してスタンダードビールカテゴリーにど真ん中の新商品を投入する。当社のビールの歴史は、世界に先駆けての1967年のろ過しない生ビールの提案はじめ“やってみなはれ”精神のもと、市場創造へ挑戦してきた歴史だ。社会環境や、お客様のビールの飲み方の変化を捉えた“これからの時代のビール”を提案する。2021年4月に創設したイノベーション部がこれまでの固定概念・開発手法に捉われず、新しいことに挑戦し続ける商品として、第1弾ビアボールに続く第2弾となる。ビール市場の真の活性化につなげたい」と述べた。
〈“一日の終わりに、今日の自分を全肯定してくれる存在”から開発〉
ビールカンパニーマーケティング本部イノベーション部・竹内彩恵子氏は以下の通り、開発コンセプトを語った。
“これからの時代のビールとは”というテーマに向かってお客さまに量・質の両面で、徹底的に声を聴くことにこだわって開発した。
ビールユーザー1万人に聞いたところ、ビールに求めることに変わらないこと・変わったことどちらもあった。変わらないこととしては、ビールは最初の一口目がやっぱり大事だということ。変わったこととしては、帰宅時間が早まるなど、社会環境の変化にともない、ビールの飲み方にも変化がある。350ml缶を1本空けるのに、2018年は約12分だったが、2022年には約18分になっている。“とりあえず1本”から、“食事を楽しみながら”に変化した結果だ。つまり、“飲みはじめから飲み終わりまでずっとおいしい”ということが重要。
質については、対象のコミュニティに深く入りこんでインサイトを発掘した。大学のゼミに週1回、1年通い、本音を引き出した。試験醸造を繰り返し、町工場などで愛飲家と議論を進めてきた。共通していたのは、これからの時代の捉え方は変化を受け入れ、多様性が広がる時代ということだ。お客様の声からのヒントとして“いいことがあっても、悪いことがあっても、何もなくても、ビールを飲む時間は、今日が無事終わることの確認時間で、とても大切な時間”ということ。これからの時代のビールとは“一日の終わりに、今日の自分を全肯定してくれる存在”ということ。ここからサントリー生ビールは誕生した。
(パッケージデザインについては)シンプル・堂々・自信をテーマとした。生ビールの象徴である、ビール樽をモチーフにした。脳科学プログラムを活用し、“SUNTORY”“生”が記憶に残る。
〈最初の一口目で「グッとくる飲みごたえ」、飲み終わりまで「ずっとおいしい」〉
ビールカンパニー商品開発研究部・水口伊玖磨氏は中味開発について「飲みはじめから飲み終わりまでずっとおいしい、ということで目指したのは、まず最初の一口目。グッとくる飲みごたえだ。そして、それがかつてない飲みやすさとして終わる。今回、麦芽100%ではなくコーングリッツを副原料として使用した。麦芽・コーングリッツを仕込釜で煮沸し、トリプルデコクション製法で飲みごたえ・軽快感・コーン由来の香ばしさを引き出した」と紹介した。
西田社長は質疑に答えて「スタンダード価格帯では今回の新商品をメインとして、機能系はパーフェクトサントリービールとなる。機能系は堅調だが、一定の割合になるのに時間がかかる。パーフェクトサントリービールは、とにかくトライアルを取りたいということから、お手に取りやすい価格としているが、全く同じ理由で今回、同じ価格帯とする」とした。
〈TVCMには山﨑賢人・上白石萌音・坂口憲二やお笑いコンビ「オズワルド」、ルパン三世「銭形警部」起用〉
豪華キャスト5組6名による圧倒的登場感のTVCMを発売3カ月で1万GRP(延べ視聴率)投入する。メッセンジャーに山﨑賢人さん、上白石萌音さん、坂口憲二さん、お笑いコンビ「オズワルド」、アニメ「ルパン三世」の銭形警部を起用し、新TVCM「生きている人々」篇(30秒、60秒)、「新生活を生きる人」篇(15秒)、「飲食店で生きる人」篇(15秒)を、3月29日から全国で順次オンエアする。
〈酒類飲料日報2023年3月29日付〉