モトックス×熊澤酒造「おふしょあ 吟醸」発売、湘南産の米・水・酵母で「湘南のテロワール」アピール

モトックス×熊澤酒造「おふしょあ 吟醸」
モトックス×熊澤酒造「おふしょあ 吟醸」

モトックス(東京都港区)は6月19日、「おふしょあ 吟醸」(720ml/税別1650円、アルコール分15%)を全国で発売した。蔵元と一緒に創り上げる、ワインのように世界で愛される日本酒「Craft Sake」シリーズの新商品。今回製造を担うのは熊澤酒造(神奈川県茅ヶ崎市)。

原料米は神奈川県湘南地区で栽培された五百万石を100%使用。酵母は熊澤酒造敷地内にある旧防空壕(現在は貯蔵庫)から採取された「BK-5酵母」を採用したほか、モトックスおよび熊澤酒造で企画・製造に携わった担当者は全員湘南地区にゆかりがある、「湘南のテロワール」を体現する日本酒。

味わいはスッキリ爽やかで、海風のような軽い塩味も感じる吟醸酒。爽やかなメロンの果実香が適度な旨味に続く。「湘南名物のしらすをはじめ、新鮮な魚介類と共に、しっかりと冷やした状態で楽しんでほしい」(モトックス)。

商品名の「おふしょあ(off shore)」はサーフィン用語で「陸から沖に向かって吹く風」を意味する。オフショアの風が吹く時、波の形は綺麗に整えられ、サーフィンに最適な波が作られることになぞらえ「オフショアの風のように、このお酒も“おふしょあ”を飲む人も、外の世界へ向かって自由に羽ばたいてほしい」というほか、「湘南の風土を丸ごと楽しめる爽やかな味わいで、“オフの時間”を満喫してほしい」と2つの願いが込められている。波とサーファーが配されたラベルのデザインも、大磯町在住のモトックス社員が手掛けたという。

6月29日には東京都港区のモトックス東京オフィスで発表会を開催。和酒開発部輸出チームの谷口明生係長は「おふしょあ」について「湘南と言えば総じて爽やかなイメージがある。そんなお酒を創りたいということで、熊澤酒造に相談し開発した。規格はあえて純米にせずアルコール添加の吟醸にし、より軽快さを強調した」と話した。

モトックス和酒開発部輸出チーム・谷口明生係長
モトックス和酒開発部輸出チーム・谷口明生係長

〈杜氏も圃場で作業、栽培時から状態を把握〉

谷口氏は熊澤酒造および“おふしょあ”の特徴を「茅ヶ崎市のサザンビーチから5キロほど北に行ったところにある、湘南地区唯一の酒蔵。丹沢水系の井戸水はかなり硬めで硬度は150mg/1L。硬水と言われている灘の宮水でも120mg/1L程だ。ミネラル分が多いことで発酵が安定し、高アルコールまで持っていくことができる。アルコールを高めすぎると苦味が出てきてしまうが、そこは蔵人の技で飲みやすく仕上げている。出来上がるお酒はミネラルが多い分、どことなく塩味を感じるが、湘南の雰囲気を感じてもらうにはぴったりだと思う。“おふしょあ”には必要不可欠なものの1つ」と述べた。

原料米については「あまり湘南で米を作っているイメージはないかもしれないが、相模川、酒匂川、花水川が流れており、相模平野の大部分を占める優良な産地でもある。ただし、“おふしょあ”に使用した酒造好適米を栽培している農家は少なく、十分な量を確保するのに時間がかかった。栽培は生産者とともに、杜氏も現地に圃場に赴き生産者と共に作業する。発育の状況から米の出来を把握するため」とこだわりを紹介したほか、「湘南の海風を浴びて育った米で醸すお酒は、ミネラルを感じる爽やかな味わいになる」とも。

「おふしょあ」の販売施策では「通年商品ではあるが、夏をイメージする商品ということで7、8月に拡大を図りたい。主なターゲットは湘南地区の酒販店や料飲店で、神奈川県内で30軒の取り扱いを目指していく。WEBでは販売店のリストも制作するほか、販売店にはオリジナルのステッカーもプレゼントする。7月7日には鎌倉市の材木座テラスでアーティストも参加する、発売記念イベントを開催する予定もある」と話した。

また、今回発売となった「おふしょあ」以外にも今後「Craft Sake」での新たな企画を用意しているとのことで「富山県の酒蔵と超軟水を使用したお酒のプロジェクトも進めているほか、ワインで流行している“ヴァンナチュール”になぞらえ、無農薬米を使用するなどした“サケナチュール”も準備を進めている」と発表した。

〈酒類飲料日報2023年7月5日付〉

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