永井酒造、複合施設「SHINKA~真価、進化、深化~」オープン、テイスティングルームと醸造研究所を設置、見学は1日1組限定
群馬県川場村の永井酒造は8月1日、永井酒造の世界観を体験できるテイスティングルームと醸造研究所を備えた複合施設「SHINKA~真価、進化、深化~」をオープンした。
テイスティング体験は1日1組限定の完全招待制となっており、8月1日に発売する「THR MIZUBASHO PURE2008」(720ml/税込3万3,000円、限定180本)、「MIZUBASHO VINTAGE 2008大吟醸」(720ml/1万9,800円、限定350本)、「MIZUBASHOVINTAGE2008(純米大吟醸酒)」(720ml/3万9,600円、限定600本)の購入者を「SHINKA」へ招待する。
テイスティングルームは永井酒造が長年の歳月をかけて研究し続けている熟成酒への想いや時間の経過でしか造れない希少な味わい、また、パイオニアとして約20年手掛けているスパークリング日本酒の魅力と可能性を体験してもらう場として設けた。ほか、併設している醸造研究所で開発する「ラボSAKE」を含めた、この場所でしか味わうことができない特別な日本酒をテイスティングできるスペースとなっている。
テイスティングは3種の日本酒テイスティングプランを提供する。いずれのプランにも、出張料理人/フードプロデューサーのマカロン由香氏が監修したフレンチをベースに酒蔵らしい「発酵」をキーワードとしたアミューズブッシュ3品のペアリングメニュー(別料金)を用意している。なお、料理は季節によって変更するという。
醸造研究所は永井酒造が大切にしている「伝統と革新」の考え方をベースに、伝統的な日本酒造りを大切にしながら新たな日本酒を追求するべく、その名の通り醸造を研究する場として醸造研究所を設置した。ここでは、今まで挑戦できなかった様々な手法による日本酒を小ロットで試しながら醸造し、商品化したボトルは「ラボ SAKE」としてSHINKAでのみテイスティング及び限定販売する。
7月28日にはお披露目&プレス見学ツアーを開催した。見学ツアーでは永井酒造の「水源地」のほか、同社社員が管理する田んぼを巡ったのち、「SHINKA」の内部を見学した。
入ってすぐの空間には歴代当主の肖像画や顔写真のほか、蔵の歴史や、初代が「惚れ込んだ」という仕込み水および水源地に対するこだわりを説明するパネルを設置。壁のデザインを工夫することで、水源地のような、木漏れ日が心地良い空間を実現した。
テイスティングルームには、スパークリング日本酒の泡、日本酒の米、そして完成されたお酒の輝きと、永井酒造の進化する未来を照明で表現した。テーブルや家具にもこだわりがあり、山桜で造られた5メートルの特注のテーブルを設置した他、カウンターには「尾瀬の巨人」と例えられていた樹齢500年を超えるミズナラの木を譲り受けて製作したという。
永井酒造の永井則吉社長は「“伝統と革新”をテーマに酒造りを続け、常に挑戦をしてきた当社の世界観が体験できる施設。“我が家のリビングルームに大切なお客様を招き、蔵人とおもてなしする”をコンセプトとした」とする。
永井社長の夫人である永井松美取締役は「社長とはワインで名高いナパバレーで出会ったが、アメリカ・ナパバレーのワイナリーには大小問わずテイスティングスペースで歴史やテロワール、哲学を伝える施設があった。当社でもそんなものがあればと語り合っていたが、それが実現することとなった」と設立の経緯や込めた思いなどを説明した。
また、永井社長は「テイスティングルームは田んぼがよく見られる方角をガラス張りとした。春夏秋冬で移り変わる川場村の田んぼの景色を眺めつつ、テイスティングを体験してもらいたい」と語った。
〈酒類飲料日報2023年8月4日付〉