“ピートを極める”「三郎丸蒸留所」が新製品「Ⅳ」発売で発表会初開催/若鶴酒造

若鶴酒造「三郎丸 Ⅳ THE EMPEROR」など
若鶴酒造「三郎丸 Ⅳ THE EMPEROR」など

若鶴酒造(富山県砺波市)は6月27日、シングルモルトウイスキー「三郎丸」の新製品「三郎丸 Ⅳ THE EMPEROR」(1万4,000円)を1万2,500本限定で発売する。

21日には、「三郎丸蒸留所東京メディア発表会」を代官山蔦屋書店で開催。同社代表取締役社長稲垣貴彦氏が、同蒸留所の歴史や近年の取り組みと共に、新商品について説明した。なお、東京でのメディア発表会は初の試み。

若鶴酒造・代表取締役社長稲垣貴彦氏
若鶴酒造・代表取締役社長稲垣貴彦氏

〈稲垣貴彦代表取締役社長 説明〉

三郎丸蒸留所の母体は、1862年創業の日本酒蔵だ。戦後は米の統制で日本酒が造れず、2代目の稲垣小太郎が蒸留酒の研究を開始。1952年にはウイスキー製造免許を取得し、翌年サンシャインウイスキーを発売した。発売直後に蒸留室から出火して全焼したが、地域の方に支えられ、奇跡的な復興を果たすことができた。

IT企業に勤めていた私が家業を継いだのは、2015年。1960年に蒸留されたウイスキーの味わいに感動したからだ。だが、蒸留所は著しく老朽化していた。そこで北陸最古の蒸留所を継承すべく、2016年にはクラウドファウンディングを開始。目標を遥かに上回る3,800万円超の支援が集まり、2017年には「見学できるウイスキー蒸留所」として再始動。駅から徒歩60秒の「五感で楽しめる蒸留所」として、国内外から年間3万人が訪れる人気スポットになった。

さらに体験価値を向上すべく、年内にはイマーシブ体験やブレンド体験などができる施設を拡充する予定だ。

蒸留所でもさまざまな革新的取り組みを実施。2018年には最新鋭マッシュタンを導入、2019年には富山県高岡市の伝統産業技術で世界初の鋳造製蒸留器「ZEMON」を開発した。

さらに「ピートを極める」をコンセプトとする蒸留所らしく、2019年には世界初となるスモーキーなクラフトハイボール缶を発売。累計販売本数は300万を突破した。

2020年から、シングルモルト「三郎丸」シリーズを毎年リリース。ウイスキーの売上げは8年間で15倍に成長し、輸出売上高は20倍にまで拡大。2030年には海外比率5割を目指す。

広がる需要に応え、販売本数を増やすべく、蒸留所を今夏改装し、一日2度仕込みを開始。木桶も増設し、仕込み量を2倍にする予定だ。

〈「地域の文化と自然を世界へ」世界初鋳造製蒸留器や地元ミズナラ樽開発〉

当社の使命は、「地域に拠って、世界に立つ」。この地に根付いた酒造りを通して、地域の自然や文化、ものづくりの技術を未来へつなぎ、世界へ広げたい。

たとえば富山県高岡市は銅器製造の歴史が長く、日本の銅器の9割が生産されている。梵鐘技術から生まれた世界初の鋳造製ポットスチル「ZEMON」は、銅と錫の効果で酒質がよりまろやかになるだけでなく、エネルギー効率が良く、かつCO2排出量も抑制できる。日英で特許を取得したが、皆で技術を共有したい。

また、伝統木工技術を用い、富山県産ミズナラで造る「三四郎樽」にも取り組んできた。地元の水資源を活用し、夏季は屋根散水で熟成庫の温度を調整。太陽光発電も取り入れている。

年始の能登半島地震を受け、チャリティボトルを発売。被災者支援に750万円を、さらに当社のファンが多い台湾で4月に起きた震災被災者へも400万円を寄付した。

新商品「三郎丸Ⅳ THE EMPEROR」には、ハイランドピートとアイラピートを使用。黄色い果実の香り、フルーティーでカラッとした味わい。前作の「Ⅲ」はアイラピートのみで仕込んだので、湿気のある海風を感じる味わいだ。ピートの違いが楽しめるウイスキーは初めてではないか。なお、「Ⅳ」のスモーキーさが際立つ「カスクストレングス」(1万9,000円)も1,900本限定で同日発売する。

新商品発売に先駆け、22日から7月5日まで代官山蔦屋書店で「三郎丸蒸留所POP UP」イベントも開催。週末は、「三郎丸蒸留所のスモーキーハイボール」のサンプリングも実施する。

〈酒類飲料日報2024年6月24日付〉

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