クラフトビールの「聖地」が進化、約500種類のビールを揃えた“飲めるセブン”オープン/「seven」(横須賀市汐入)

壁一面に広がる冷蔵ケースは宝の山
壁一面に広がる冷蔵ケースは宝の山

「セブン-イレブン 横浜ハンマーヘッド店」は、コンビニエンスストアでありながら、ビール専門店をも凌駕する600種以上のクラフトビールをそろえている。クラフトビールビアギークたちの「聖地」として、またクラフトビギナーにも入りやすく新しいビールに出会える店として人気を博してきた。

そして2024年6月、同店の代表中山啓太郎氏が横須賀市汐入にオープンしたのが「飲めるセブン」、その名も「seven」だ。

中山氏
中山氏

〈主役は約500種類のビール〉

汐入駅から約30秒。ポートランドの街中にありそうなスタイリッシュな外観、道路に面した広い窓から見えるカラフルな缶で埋め尽くされた冷蔵ケースが好奇心をくすぐる。

内装はいたってシンプル。壁一面に広がる約500種類のビールがこの店の主役だ。「迫力ある売り場にしたいと、“面”で見せることにこだわりました。一段に5種類、11面あるので800種類並べることもできますが、ただやみくもに数を集めるのではなく、テーマをもってセレクトしています。ここに来れば飲みたいビールが必ずあるという安心感、ビアギークでも知らない銘柄があるという驚きも届けたい」と中山氏。

確かにクラフトビールを担当する記者自身、初めて見るビールの数々に圧倒された。アメリカやカナダから韓国まで海外のクラフトビールが約8割を占め、ジャケ買いしたくなるポップなラベルも多い。さらに入手困難な国産ブルワリーも多々あり、仕事を忘れて興奮してしまう。

選び抜かれたビールばかりとはいえ、500種類もあればどれを飲もうか悩ましいが、スタッフに尋ねれば理想の一本に出会えるはず。店内で飲むこともできるし、もちろん持ち帰りも可能だ。最多価格帯はショート缶で1000~1300円だが、品揃えから雰囲気に至るまで、この店にしかない価値も含めての価格と思えば決して高いとは思えない。中山氏がいう「ビールを通して五感を刺激し、心を動かすような体験」はプライスレスだ。

立ち飲み用のカウンターのほか、「セブンイレブン」ではできなかったタップ&カウンターも設置した。パッケージに多いIPAとは異なるスタイルを中心に、3~4種を提供しており、将来的にはブルワリーとコラボレーションしたタップテイクオーバーなども企画したいという。

取材時にはオープンを記念して静岡の「West Coast Brewing」と共同開発したウエストコーストラガー「seven」もタップで提供(パイント1,700円、缶は1,600円)。樽で飲めるのは同店と静岡のブルワリーだけだというレアアイテムだ。

コラボビール「seven」
コラボビール「seven」

〈カルチャー構築の基点に〉

それにしても、なぜ汐入だったのか。「横須賀という地名は全国区で知られていますが、実際に来たことがある人は少ないでしょう。でも、アーバンスポーツが盛んで、独自のカルチャーを持つ横須賀の空気感はクラフトビールとの親和性も高い。この店を起点に、エッジの効いたコンセプトを持つ魅力的な店が増えれば、人が集まる街になる。実際、この店に来るためだけに汐入まで足を延ばしてくれる方も多いんです。さらに、横浜から南のエリアにクラフトビール専門店が少なかったこと、ビールの回転率を考えると、近くにベースがあり、外国人の集客が見込めることも大きなメリットと考えました」。

次々に来店する外国人やビアギークが思い思いにビールを選び、時にはビール談義で盛り上がる姿を見ながら、荒廃した街の再生に貢献したブルックリン・ブルワリーのことを思い出していた。自由で多様で面白いクラフトビールカルチャーは、街の活性化につながる強力なコンテンツとなる。

「seven」もまた、クラフトシーンの発信に留まらず、新しい街のカルチャーを構築する基点になるのではと期待する。

【住所】神奈川県横須賀市汐入町2-41-1
【営業時間】水~金曜17時~22時、土15時~22時、日13時~20時、月・火休み。詳細は同店のInstagram(seven_yokosuka)から。

〈酒類飲料日報〉

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昭和42年(1967年)8月
発行:
昭和42年(1967年)8月
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