流通・加工業者の皆さんが手を差し伸べ肉用牛基盤強化を-日食協・中須会長
日本食肉協議会(中須勇雄会長)は6日、千代田区内幸町の帝国ホテルで恒例の新年賀詞交換会を開いた。食肉業界・行政など約530人が参加し、情報交換などを行った。
冒頭、中須会長(=写真㊤)は、「食肉業界にとって、我が国の肉用牛生産が厳しい状況を迎える中で、これをどう脱していくかが一番の課題と認識している。高値が続く豚肉は、昨年は生産増加で安定してきた。しかし、国産牛肉は、相変わらず高値が続き、一部では国産牛肉離れが起こるのではとの心配も出ている。価格の高騰により、食肉業界も大変商売がやりにくい状況になっている。幸い子取り用メス牛の増加が見られるが、遅々としたもので時間がかかる。繁殖農家が高齢化で経営をやめる中で、流通・加工業者の皆さんが手を差し伸べ、基盤を強化する手助けをすべきではないかと強く思っている。地域や立場で違いがあるが、生産にも目を向け、支援を強化していただくようお願いする。行政の進める畜産クラスター事業も、地域として畜産生産をどう盛り上げ、しっかり支えていくか、との目標を持っている。ぜひ、行政に相談していただきたい。また加工食品の原料原産地表示の問題、食肉加工流通分野へのHACCP適用の問題は、皆さんの仕事にも大きな影響を与える分野であり、中身がどうなるか、どう対策を行うか、業界内でしっかり検討しなければならない」と、今年の課題を挙げた。
さらに、「今年は酉年であり、うるさい年、ガチャガチャもめる年、実りの多い年など様々に解釈される。ただ、今年の新年はここまでは落着いて推移している。これが長く続くことを期待したいが、あまり続かず、いろいろなことが起きるだろう。10年前から言われてきた少子高齢化は今や現実となり、毎年数十万人の単位で人口が減少している。大きな転換期に来ているといえる。訪日外国人の増加、働き方改革、人工知能など、世の中は、ものすごい勢いで変わりつつある。それに対し、皆さんの経営は、時代の変化を見定めてどういう経営を行うか、それが一番の要であり、皆さんの立場では大変難しい時代に来ている。唯一の救いは、わが国では国産に信頼を置いて、積極的に食べようという多くの消費者がいるということ。この力を活用し、皆さんの商売が実を結ぶよう奮闘されることを期待する」と、変化への対応に触れてあいさつした。