1月の豚肉需給展望 中旬以降中だるみで月平均は税抜440~460円程度か

昨年12月の豚枝肉相場(東京市場・上物税抜き、以下同)は496円(税込536円)となり、本紙予想を20円程度下回ったほか、前年同月を43円下回った。15年12月は前半の520~540円相場から第4週目には400円台前半まで急落したが、昨年12月は全国と畜頭数が140万4千頭(推計値、前年同月比5.4%減)、月平均7万3,911頭)と、農水省および農畜産業振興機構の出荷予測を下回るなかで、極端な安値はなく、月前半や年末の際を除けばおおむね480~520円の範囲で推移した。1月の出荷は農水省および機構の予測でも前年を5%上回ると予想されている。とくに年末年始の休み明けの影響で上~中旬にかけて出荷頭数の増加が予測される。例年、1~3月は需要期ではないものの、きょう(11日)から学校給食が始まるほか、牛肉の高値推移、正月の出費増の反動でスソ物中心に豚肉需要が底堅く推移するものとみられ、比較的落ち着いた相場展開が予測される。そのため月平均では上物440~460円前後と予測する。

[供給見通し]12月の肉豚出荷頭数は推計値で140万4千頭となった。12月第4週にかけて1日当たり7万頭台後半の出荷増がみられたものの、気温の冷え込みによる呼吸器系の疾病で増体率が低下していることも指摘されており、トータルでは当初予測の151万頭台のレベルにまで届かなかったとみられる。

1月の肉豚出荷は農水省および機構の予測でも前年同月比5%増の142万頭とされている。1日当たり約7.5万頭(19日稼働)に上る計算だ。ただ、気象庁によると、今週から来週にかけて冬型の気圧配置が強まり、北日本を中心に大雪や大荒れや大しけの天気が予想されているほか、向こう1カ月間、東日本中心に例年より気温が低く、日本海側では降雪量も多めと予報されている。これら天候による周辺市場やセンターへの出荷・輸送遅れの影響も懸念されている。チルド豚肉の輸入量は、12月が2万9千t(前年同月比1.3%減)、1月が2万8千t(1.7%減)と、1~3月の国産フレッシュ物相場の下落予想から無理な買いはないとみられ、前年の輸入実績をわずかに下回るとされている。

[需要見通し]年末年始の末端消費動向は「マズマズだったが上振れはなかった」(卸筋)、「葉物中心に野菜価格が高いため、鍋物需要も決して強くはなかった」(関東の量販筋)などの声があり、好調とまではゆかなかったものの概ね底堅く推移し、越年在庫も多くはないもようだ。1月は正月出費増の反動で需要は弱まる流れで、学校給食の再開もあり、ウデ・モモの動きが良化する半面、バラやカタロースが鈍化すると予想される。とくに中旬以降は輸入チルドの出回りも増えてくるため、ロースなど部位によっては輸入チルドとの競合も予想される。ただ、この間の高豚価でスソ物中心に凍結在庫が不足していることから、今週後半から価格動向によっては凍結回しの需要が強まるとみられる。

[価格見通し]例年、1月早々の相場は在庫補充買いで上旬は500円台の高値を付け、中~下旬にかけて弱気の展開となるため、3連休が明けた今週後半からマーケット実勢を反映した相場展開に落ち着くとみられる。昨年は年明けに490円を付けたものの中旬には380円程度まで大きく下げ、さらに中旬以降は全国と畜頭数も1日7万頭を割り込んだほか関東の広い範囲で大雪にも見舞われるなどして下旬にかけて500円前後まで持ち直した。

ことしは前述の寒波や雪害による出荷遅れの懸念は残るものの、前年のような極端な値動きはないとみる向きも多く、希望的な見方を含めて450円前後(税込490円前後)とみる業界関係者もいる。今後、瞬間的な下落がある半面、凍結回しの動きが相場の下支えとなることも考えられ、月間平均で440~460円(税込480~500円)程度と予想される。