ブラジル産食肉の不正輸出が疑われる問題、対象絞り検疫手続き保留-厚労省

ブラジルで鶏肉取扱量が最も多い大手食肉事業者、ブラジル・フーズ(BRF、本社・サンタカタリーナ州)らが食品衛生基準に反して、鶏肉を含む食肉関連製品を日本などに不正に輸出していた問題で、厚労省は21日を目標として、各検疫所に対して、規準違反の疑いがもたれている製品についての手続きを保留するよう通知を発する。同省では、同国政府や、在ブラジル日本大使館などから情報収集、報道された内容の事実関係を急いでいる。問題される工場が取り扱う製品の一部が、日本向けに輸出されていることが分かっており、日本向け製品が衛生基準を満たしていたかどうかなど詳細を確認しているところだ。同省輸入食品安全対策室では「事実関係の確認作業を行っている段階であり、現在のところ確定的なことが言える段階にはない。検疫所での今回の措置は、念のために行うものだ」と、安全側に軸足を置いた対応である点を強調した。仮に違反事例の事実が確認されたとしても、正式な形での輸入停止措置は、違反工場などにとどまるなど限定的になるものと考えられる。

外国通信社をはじめ、同国内のメディアなどが今回の不正問題を競って報道する中、あいまいな情報が錯綜しているのが実情だ。現地メディアなどによると、事業者が食鳥処理検査官にわいろを渡すことで適正な検査を免れ、衛生基準を満たしていない食肉および食肉加工品を流通させた、と報じている。検査をめぐり手心を加えるよう要求した事業関係者や、その見返りを受け取った検査官らが、贈収賄容疑で逮捕される事態にまで発展している。衛生基準をめぐって、どのような違反事例があったのかについてはいまのところ、具体的な情報がない。

週明け(日本時間)から報道が過熱する中、ブラジル政府は火消しに躍起となる。一方で、日本時間と昼夜が全く逆となることから、霞が関筋との情報のやり取りが円滑に進まず混乱している、というのが実情だ。このため、厚労省としては“対処療法的”措置として、検疫所で個別案件ごとに手続きを保留する、という苦肉の策に出ることにした。保留対象施設としては、BRFのほか、「テシン」など複数の会社名が挙がっており、事業所ベースでみると、その数は21カ所に及ぶ。