大阪を中心に関西圏で畜産に特化した物流事業を展開-エム・カンパニー
大阪市住之江区に本社を構えるエム・カンパニー(松木克浩社長)は大阪を中心とした関西圏で畜産物流に特化した事業を展開する、車両台数45台、社員・パート65人の運送会社だ。創業当初は運送会社の下請けなどの事業を展開していたが、6年前から畜産物流事業の拡大に注力。現在、約130社の顧客と小口中心の取引を行っており、近畿2府4県に広がる独自の物流網「エムカン定期路線便」は39コースを数える。物流事業以外にも取引先の人手不足に対応した現場請負業務や倉庫業務など畜産関連の事業を手掛けている。近年では焼肉店の出店、牛の肥育事業への展開・拡大を目指して取り組みを進める。同社の「食肉販売支援事業」「エムカン定期路線便」などの事業は、関西経済連合会の国際物流戦略チームが、事業者が行う物流サービスの中で関西の物流への促進効果が高いと認定する「関西物流活性化モデル」にも選ばれている。
現在の取り組みや今後の展開について松木社長、白川尚範常務に話を聞いた。
-会社設立の経緯は。
牛肉の輸入自由化に伴い、食肉の事業部を立ち上げて業績を伸ばしていた食肉加工品メーカーから食肉の代行納品をしてほしいと依頼が入ったことがきっかけで事業を開始した。メーカーの営業担当者が行う営業以外は全て行った。納品先を訪問して、冷蔵庫に行き商品の先入れ先出しをして空箱が出たら持って帰るなど、独自のスタイルで仕事をしたことが評価され、受注量が増えていった。その配送スタイルは今も残っており自社の強みとなっている。最初は納品代行のほかに、肉屋関連のお手伝い、大手運送会社の下請けなど様々な事業を行っていた。
-畜産物流に特化した理由について。
社外の研修で、事業の絞り込みを学び、自社の強みを発揮できる事業を分析したことがきっかけとなり、今から6年前から畜産物流に特化した取り組みを始めた。大手運送会社の下請け事業は自由度が少なく、価値をなかなか認めてもらえないが、畜産物流に事業の絞込みを行えば強みを発揮でき、勝算があるのではと考えた。当時は大手運送会社の下請け事業が売上げ全体の25~30%ぐらいを占めていた。また、過去にBsEや鶏インフルエンザといった問題が発生すると畜産物流の売上げが下がるため、大手運送会社の下請け事業を行っていた中で、社員は畜産物流への特化に反対であった。そういった経緯もあり、畜産物流以外の仕事を一気に減らすのではなく、従来の事業と平行して、売上げ比率を分散できるように畜産関連の取引先を増やしていった。取り組み始めてから2年ほどで畜産物流の仕事が増えて、売上げがぐっと伸び、そこからさらに2年かけて、少しずつ下請けの仕事を減らして畜産物流の受注を増やした。また、生産性の向上にも取り組み、5~6年目で形ができてきた。特化する前は全体の約40%であった畜産物流の売上げは、今では85%にまで高めることができている。