大型連休目前も輸入チルドビーフは淡々と流れる、イベント感薄れる
大型連休を目前に控えるが、輸入チルドビーフは比較的静かに流れている。今回の大型連休は、前半の4月29~30日、後半の5月3~7日に分けられる。真ん中の5月1~2日に営業するため、今週中にすべて手配する必要がなく、比較的ゆったりしている。さらに、連休需要自体も様変わりし、もちろん消費量は通常よりも増えるものの、過去のように牛肉を大量に消費する家庭は少なくなった。このため、「年々イベント感は薄れている」状況だ。
またチルドビーフ自体も、今回は豪州産、米国産とも比較的外貨が高く、為替の円安も加わって全体的にコスト高で、大量に特売を行うのが難しい。もちろん決算を控えた2~3月に比べれば、ある程度物量は増えているものの、過去のように安価なチルドビーフが大量に供給できる状況ではない。
大型連休で売れるアイテムは、当然、焼材であり、各量販店ではBBQコーナーや焼肉コーナーを設けて焼材中心の販売を行う。しかし、米国産の3月生産・4月入荷は、現地価格がショートリブ、ストリップロインが季節的に上昇、為替も114円前後の円安とコストが極端に高かった。そのため、大量に手当てすることが難しく、これが焼材不足につながっている。また、比較的外貨が下がっていたチャックアイロールは潤沢に入り、先週までは余剰感があったが、大手量販店からの引き合いがあり、今週は一転して締まってきた。
一方の豪州産は、生産量の減少で現地価格が上昇、タイト感が継続している。3月の現地船積み量は1万679t(前年比6%減)、うちグラスが2,553t(26.2%減)、グレインが8,126t(2.8%増)となった。グラスが極端に少なく、グラスの玉不足が深刻だ。また3月末にクイーンズランド州にサイクロンが上陸し、船積みに影響が出た。ただ、これにより入船遅れがあるものの、28日までに入船すれば1日に通関を切り2日にデリバリーができることで影響は最小限に済んだ模様だ。また豪州産の状況は、グラスはモノ不足も、ショートグレインはここに来て入荷があったことで、若干余裕が出てきた。アイテム別にみると、米国産同様、焼材はほとんどなく、逆にショートのチャックロールは潤沢となっている。結果的に、「欲しい商品がなく、ミスマッチ」の状況。
こうした状況から、量販店では大型連休に安価に大量に販売できる状況ではなく、年度初めの4月の輸入チルドビーフの販売は、数量的には昨年に届かないと見られる。しかし、外貨高で数量が絞られたこともあって、余剰アイテムは限られ、全体的に相場は高値を維持し採算的には取れている。
ただ、この先は、豪州産で入船が遅れていた分が大型連休明けに通関が切れること、さらに米国産も外貨は高値を維持も、為替が円高に振れて買いやすくなっていることで手当てを増やしたとすれば、不需要期に入る5月下旬以降、相場が崩れる懸念もある。引き続き需要をしっかり見据えた手当てが重要になっている。