ことしの初生牛価格、乳雄は一段高も前年安で天井感、交雑は13%高

初生牛価格は過去5年にわたる出回り不足を反映して前年実績を上回る形で高値相場の展開を見せてきたが、最近の枝肉相場が軟調に推移してきたことで頭打ち感もみられる。とくに酪農経営の副産物である乳雄初生牛は取引頭数こそ依然として少ないものの、この半年は前年価格を下回っており、天井を打ったとみられる。それでも1頭当たり平均10万円台と5年前の12年と比べて2.5倍も高く、構造的な頭数不足もあり、当面は10万円台を割ることはなさそうだ。

農畜産業振興機構がまとめた全国25家畜市場の初生牛取引価格によると、乳用種雄1頭当たりの平均価格は約12.1万円となり、前月から4,500円値上がりしたものの、前年同月比で10.7%安値となっている。分娩頭数がずれ込んだため、全国取引頭数は8,616頭と同4.3%少ないにも関わらず、昨年11月に前年安に転じて以降、7カ月連続で前年価格を下回っており、ここ5年間の値上がり傾向からようやく天井を打った状況となっている。

この背景には枝肉相場、素牛相場が軟調に推移しており、採算悪化の懸念から育成経営の買い気が低下しているためとみられる。依然として交雑種は素牛高が続いており、乳雄から交雑種初生牛に買いが強まっているとみられる。

交雑種(雄・雌)の平均価格は前月から200円ほどわずかに値下がりして29.8万と引続き30万円近い相場となっている。前年同月比で12.5%高。全体的に枝相場が軟調にあるとはいえ、大衆規格を含め和牛相場が高値で推移するなかで割安な交雑種に引合いがシフト。利益を確保するため交雑種初生牛の買い気が強まったとみられる。