厚労省が食品衛生規制の見直し案報告、HACCPの制度化、営業届出の創設
厚労省は26日、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会にHACCPの制度化、食品用器具・容器包装へのポジティブリスト制度の導入など「食品衛生規制の見直し案」を報告した。それぞれ検討会で取りまとめが行われたが、2018年通常国会の法律改正に向け最終的に同分科会で審議が行われるもの。
食品衛生規制の見直しでは、食品流通の多様化や国際化を踏まえ、食品の安全の更なる向上を図るため、フードチェーンを通じた事業者で自主管理の推進を図るとともに、食品用器具・容器包装の規制の在り方の見直し、食品の自主回収に対する対応など食品の安全の確保のための施策を充実させる。主な検討内容としては、①HACCPによる衛生管理の制度化、②営業届出の創設及び許可制度の見直し、③食品用器具・容器包装の見直し(ポジティブリスト制度の導入)、④食品リコール情報を把握する仕組みの構築-を挙げている。
HACCPの制度化はすでに議論が進み2018年の通常国会に改正法案を提出することで制度の詳細を検討していくことになる。フードチェーンを構成する食品の製造・加工、調理、販売などを行う全ての食品事業者を対象に、衛生管理基準に従って必要な措置を講じなければならないこととし、一般衛生管理及びHACCPによる衛生管理、それらを実施するための「衛生管理計画」を策定することを求める。既報のように、HACCPによる衛生管理の基準としては、HACCPの7原則を要件とし、小規模事業者、飲食店、販売業の一定の業種については、食品の特性や事業者の状況に応じて、現行の一般衛生管理の着実な実施を基本に、HACCPの考え方に基づく手引書を参考にした取組みを求めることを検討している。
また、これに合わせて営業届出の創設などが盛り込まれた。HACCPの制度化では、全ての食品事業者が対象となるが、営業許可対象事業者以外の事業者についても、自治体が把握するための仕組みとして、届け出を求める仕組みを構築する。
食品用器具・容器包装では、安全性を評価した物質のみを使用可能とする仕組み(ポジティブリスト制度)を導入する。また製造管理基準の遵守を義務付けることなどで安全性の確保を図る。対象となる材質は、まずは合成樹脂を対象とすることを想定、具体的なリスク管理方法については、さらに技術的な検討を行う。既存で使用されている物質については、一定の要件を満たした場合には、使用可能とするよう配慮するとしている。