日EU等対策本部、政府はTPP11の動向に合せ11月を目途に大綱改定-自民党

自民党は20日、党内で日EU等経済協定対策本部(西川公也本部長)の7回目の会合を開き、14日に政府が発表した政策対応に関する基本方針について議論を行った。基本方針のうち食肉は、「経営安定対策(牛・豚マルキン)については、日EU・EPAの大枠合意の内容、TPPの状況等を踏まえて必要な検討を加える」とされており、議員からは記載を評価し検討を急ぐよう求める声が上がった。

冒頭西川本部長は、「政府には早く影響調査をしていただき、TPPの影響も含めて、それに基づきながら対策を練っていくのが基本だ」とあいさつ。澁谷和久TPP等政府対策本部政策調整統括官は、「TPPの政策大綱と重なる部分もかなりある。TPPの早期発効に向けた取組みも動いている所で、TPPの動きも含めて政策大綱を改定する形で作っていく。改定は、TPP11カ国の取組のある程度の結論が出ると見られる11月を目途に考えている」と説明した。

日EUの政策対応に大きく影響する事柄として、TPP交渉の現状についても澁谷統括官から報告された。12~14日に行われたTPP箱根高級事務レベル会合では、11カ国の主席交渉官クラスが集まり、11カ国でTPPを発効するための方法を議論。今あるTPPそのものは変えず、新しい協定として11カ国でのTPP11(イレブン)を作る方針が決まったという。また、TPPと全く同じではなく、発効条件を始め、必要最低限の修正を行うとしている。澁谷統括官は「変更は極めて限定的としたが、具体的な議論は難しい。関税などの具体的な点の議論は進んでいない」と説明した。TPP11の今後の会合では、8月末から9月上旬にかけて豪州で会合を行い議論を深め、11月10~11日のベトナムでのAPEC閣僚会合時に、交渉官らの議論したTPP11発効の選択肢を報告する予定としている。

そのほか、国際交渉に関連しては、議員から「日EU・EPAが合意した影響で、米国から日米のFTAなどを強く求められることはないのか」との質問が上がった。これに対して外務省は、「米国の優先順位としては、8月にも再交渉が始まる可能性のあるNAFTAが第1にあり、第2は米国の貿易赤字の約半分を占める中国との関係、第3は米韓FTAの見直しにあると考えている。また、トランプ政権は実務的な体制がまだ整わない中でやっており、この中で日本に対して強硬に求めてくるとは考えづらい」と情勢を説明した。