18年度概算要求を議論、日EU・EPA関連は予算編成過程で検討-自民党
自民党は10日、農林・食料戦略調査会、農林部会合同会議を開き、農水省から18年度概算要求の主要事項について報告を受けた。概算要求は、8月末に向けて議論を進めていく。次回会合は旧盆明けの予定で、農水省から要求額を除いた形での重点事項が報告される。また、先月大枠合意となった日EU・EPAに伴う関連対策は、予算編成過程で検討することが説明された。
会議の冒頭に出席した齋藤健農水大臣は、「日本の農業は大きな曲がり角にある。人口の減少はこれから加速していく。年々需要は減少していく。一方で日本の農業の可能性は大きく広がっている。そういう局面において、我々は何をしなくてはならないかが問われている。今置かれた時代の認識を多くの農業関係者の皆様と共有して、危機感と希望をもってそれぞれが一歩を踏み出すということを心がければ、自然と協力しながらできていくのではないか」とあいさつ。西川調査会長は「ことしは例年と同様のシーリングの中、どういう狙いで予算を編成するのか、党側の考え方を伝えていく。今年は補正予算の方針が示されていない。そういった中で、窮屈な予算編成となる。農林水産業の発展に向かってさらに進んで行く予算編成になれば」と語った。
農水省は、「農林水産業の成長産業化と美しく活力のある農山漁村を実現するため、『農林水産業・地域の活力創造プラン』等に基づく農政改革を着実に実行する予算を要求」するとして、①担い手への農地集積・集約化等による構造改革の推進②水田フル活用と経営所得安定対策の着実な実施③強い農林水産業のための基盤づくり④農林水産業の輸出力強化と農林水産物・食品の高付加価値化⑤食の安全・消費者の信頼確保⑥農山漁村の活性化⑦林業の成長産業化と森林資源の適切な管理–の7つの主要事項を提示した。日EU・EPAの大枠合意を踏まえて、今秋をめどに改定される予定となっている「総合的なTPP関連政策大綱」の経費は、予算編成過程で検討するとしている。これら主要事項のうち、強い農林水産業のための基盤づくりでは、攻めの農林水産業に資する農林水産関係施設の整備の推進、畜産・酪農の競争力強化(畜産・酪農経営安定対策の実施、放牧の推進等自給飼料の生産拡大等)が挙げられた。
農林水産業の輸出力強化と農林水産物・食品の高付加価値化では、輸出力強化のため今般創設したJFOODOを核とした戦略的プロモーションの展開、輸出先国の規制への対応・検疫協議の迅速化等による輸出環境の整備、規格・認証、知的財産の戦略的推進、食文化の継承等に向けた食育の推進、国産農林水産物の消費拡大、食品ロスの削減などをあげている。食の安全・消費者の信頼確保の項目では、安全で高品質な生産資材の供給、国内での病害虫や家畜の伝染性疾病の発生予防・まん延防止対策の推進、産業動物獣医師の育成・確保を掲げた。農山漁村の活性化では、鳥獣被害防止対策とジビエ利活用の推進も挙げられている。