輸入牛肉SG発動阻止へ需給対策の体制強化、確度の高い情報収集力が課題
7月下旬に入って、テレビ局1社が報道番組の中でSG発動の可能性を報じた。実はこの時点まで、農水省畜産部内ではSGの動きに意識が向かっていなかった。4、5月の動きが例年通りに推移するなど静かな立ち上がりを示す一方、6月に入って輸入量が急激に増えた。予想だにしなかった動きに情報を読み切れなったようだ。商社筋からも、4、5月の動きから判断して、6月に一気にSG枠を超えるとは予想できなかった、との声が漏れてくる。官民ともにSG発動に対する気の「緩み」が今回の騒動につながった、といえる。
113tオーバーというわずかな量も曲者だ。「発動の動きを意識していたとしても、確度の高い情報を逐次、業界関係筋にアナウンスしなければ、コントロールするのは難しい」。月に1度の財務省から発表される貿易統計からでは、機動的な対応をするのは困難だ。こうした実態を酌んだのが麻生発言に行きつく。「貿易統計というのは、財務マターの話であって、われわれがどうこうできる領域ではない」(農水省)。数字を的確に把握するためには、貿易統計の数字に勝るものはない。どのような形で運用できるのか期待の声もある。一方、農水省は、商社筋から積み上がってくる輸入量に関する情報の確度を高める意向だ。「正確な貿易数量を適時アナウンスしていれば、各社とも一定量の通関手続きを控え、SG発動に至らなかった。もう一度、需給対策の重要性を認識し、体制を立て直す必要がある。同じ過ちは許されない」(農水省幹部)。確度の高い情報収集力を含め、需給対策の強化に着手した。
〈畜産日報2017年10月16日付より〉