8月に就任のマルティン・ラヴォアーCPI新プレジデントが来日

「いいものを作る仕組みづくりを重視、商品が評価されることは宣伝より効果ある」

カナダポーク・インターナショナル(CPI)は10日、8月にプレジデント兼CEOに就任したマルティン・ラヴォアー氏(写真)の来日に合わせ、東京・港区のプラースカナダで記者懇談会を開いた。懇談会では、ラヴォアー氏がCPIの動向と、アジアを重視する方針を語った。CPIのあり方を、「我々は仕組み作りに多く投資する」と説明、品質を高めていいものを提供し、その結果消費者に選ばれる豚肉を提供していく考えだ。

同氏は、CPIでマーケットアクセスを13年間担当、その後は6年間トレーディングを行う会社に所属、転籍後もCPIを担当し、長くCPIとかかわってきた。マーケットアクセスで大きな実績を上げており、13年間とその後の6年間の約20年間で、カナダポークの輸出先は40カ国から約140カ国以上へ増えた。

同氏は日本市場について、「昨年カナダポークの日本への輸出金額が10億ドルを超えた。カナダポークの総輸出額は40億ドル以上だが、そのうち4分の1以上が日本のマーケットに来ている。カナダにとって、アメリカ、日本、中国が大事な3本柱のマーケットになっている」と重要性を強調。

日本向けにチルドポーク輸出が増えている背景には「中国の存在もある。パッカーはすべての肉をバランスよく売らなければならない。豚を買ってきて、日本向けに高級なパーツを輸出すると、残ったパーツをどうするかという問題があった。それを中国に輸出することができるようになり、いいバランスとなった。パッカーも生産者もいい状況になっている。中国は数量で日本を超えている。裾ものが多いため、金額は日本が多い」と説明した。また、「アジアの市場に関しては重要視している。日本はカナダポークにとって非常に重要な市場だ。中国も含めアジアへフォーカスする。日本市場で頑張っているメンバーをもっともっと支援していきたい」と語っている。

日本のCPIメンバーについては、「例えばオリメルとメープルは競争相手だが、カナダポークの販売を増やしていこうという共通意識が持てている。それがCPIのいいところだ。消費者にカナダポークの良さを伝えて、買ってもらえるよう計画を立てていく。カナダの各パッカーは競い合う面もあるが、同じ武器を持って市場に出ていくという意識を持っていることを感じた」という。

CPIの活動とカナダポークの普及については、「CPIという団体は、パッカーとのパートナーシップの上で成り立っている。その方向性に変わりはない。各国豚肉のサプライヤーはたくさんあるが、広告宣伝に大きなお金をかける国もある。我々は(VCP=VerifiedCanadian Pork のような)仕組み作りにたくさんの投資をする。安全・安心な商品を提供する。VCPにあるように、ラクトパミンや成長促進剤を使用しないなど、品質を高めていいものを提供することにお金をかける団体だ。その結果、宣伝を多くしなくても、いいものと認められて選ばれることに一番いい効果があるのではないかと考えている」と説明。カナダポークの品質の良さを浸透させることが重要との考えを示した。

日本市場は、「商習慣、金融のリスクも含め、パートナーとして非常に信頼できる一番いい市場と認識している。CPIのメンバーも輸入量は大きく増えて、踊り場に来ていると思うが、日本はいいものを作れば消費者が評価してくれる国だ。評価が得られれば増える余地はあると思っている。今までのような急な右肩上がりではないにしろ、生産者もパッカーもいい状態にあり今後もカナダポーク産業は発展していく。日本市場での将来についても、ポジティブな評価をしており、まだまだ期待をしている」と語った。

〈畜産日報2017年11月13日付より〉