平田牧場が東京食肉市場に上場、さらなる販路拡大と商品価値向上めざす

〈三元豚からスタート、将来は他ブランドの上場も、市場活性化に期待〉
山形・酒田市の養豚大手(株)平田牧場(新田嘉七社長)は2月23日に東京食肉市場へ豚枝肉60頭を初上場する。北海道・東北を中心に52農場を構え(うち直営11農場)、年間集荷20万頭規模を誇る同社だが、これまでは食肉加工・販売・外食事業など独自ルートで展開してきた。

今回、国内最大の食肉流通拠点である同市場に上場することで、大消費地である首都圏市場へのさらなる販路開拓と自社ブランド豚の商品価値向上を図ってゆく方針だ。当面は基本ブランドである「平田牧場三元豚」(LWD)を1週間当たり60~100頭規模で上場し、将来的には他のブランド豚にも広げたい考えだ。取り扱う東京市場としても、これを機にさらなる取引の活性化が期待できそうだ。

上場に先立ち、東京食肉市場の会議室で購買者ら市場関係者を招いて平田牧場のプレゼンテーションが開かれ、同社の養豚に対する企業理念や出荷するブランド豚が紹介された。さらに場内の消費者コーナーに場所を移して試食会も行われ、参加者は現物のパーツを見比べながら、今回上場する「平田牧場三元豚」をはじめ、同社のブランド豚「平田牧場三元豚バークシャー50」「平田牧場金華豚」「平田牧場純粋金華豚」のそれぞれの品質の違いを確認した。

当日は、プレゼンに際して平田牧場の茂木陽一専務執行役が、「これまでは生協をメーンに独自ルートをつくって販売してきたが、今後、さらに当社の豚の市場価値を高めてゆきたいという思いがあり、ぜひ市場の皆さんの力をお借りしたい」と上場の経緯を説明。そのうえで、国内での飼料用米のパイオニアとされる同社の飼料用米の取組みや生産体制、「平田牧場三元豚」をはじめとする同社のブランド豚の特徴が紹介された。

それによると、現在の生産体制は直営農場11カ所、提携農場41カ所の計52農場で、地元の山形(29農場、うち直営8農場)をはじめ、北海道(6、うち直営3)、秋田(2)、岩手(2)、宮城(3)、福島(2)、栃木(8)の7道県で展開している。総集荷頭数は約20万頭に上り、生産する豚はすべて飼料用米で育てられ、各ブランド名に「日本の米育ち」を謳い訴求しているという。

一方、出荷・上場する肉豚は「平田牧場三元豚」(LWD)からスタート、同ブランドは出荷日齢・重量は180~200日・107kgで年間5万頭規模という。このほか、同社では「平田牧場三元豚バークシャー50」(LDB、約200日齢・107kg・9万5千頭)や、直営農場限定で「平田牧場金華豚」(LDK、約210日齢・95kg・2万4千頭)と「平田牧場純粋金華豚」(KK、約240日齢・80kg・1千頭)を生産している。なお、同社の特徴である飼料用米の取組み規模は、18年度の作付面積が2,200ha、集荷量は1万2千t(17年度2,022ha・1万1,696t)に上るとしている。

今回の東京市場への上場について茂木専務は、「これまでも東京および関東エリアで直接的な販売をやってきたが、これから様々な方面にマーケットを獲得するために上場を決めた。もちろん、従来の独自ルートでの販売も継続する」「まずは当社のベーシックな商品から始めてゆきたい。当面は1週間当たり60~100頭を念頭にしている。将来的にはそれぞれのブランドについて指値を付けて販売できるようになればと考えており、そのためのベースづくりとして三元豚から始めさせていただきたい」と期待感を示した。また、同社は地元および都市圏で販売店や、とんかつ・豚肉料理専門店を多数展開しているほか、展示商談会への参加など積極的なPR活動によって企業価値と商品ブランドの認知を高めてきた。ブランド訴求について、「購買者の方々には、店頭でのPOPやワンポイントシール、リーフレット類など様々な販促物の提供もさせていただきたい」と協力を呼び掛けている。

〈畜産日報 2018年2月2日付より〉