福島県産牛肉での格差続く、現状でも全国平均に比べ171円安に

畜産日報 2018年3月12日付
〈イオンで福島牛の定番販売再開、東京・板橋店など店舗は少ないが風評解消に期待〉
3月11日で東日本大震災から7年が過ぎた。復興は進んでいるものの、福島県産牛肉では、相場は依然として全国平均を下回る。農水省の資料によると、東京食肉市場での和牛去勢全規格平均の価格は18年1月に1kg 当たり2,288円となった。これは全平均の2,459円を171円下回る。福島県産牛肉は、2011年には一時期、800円を下回る事態となった。11年後半から回復傾向をたどり、その後の出荷頭数不足による枝肉相場の高騰もあって12年以降は震災前の価格を上回っている。だが、被災4県のなかでも宮城、岩手は高値を付ける半面、福島県はいまも全国平均を下回っているのが現状だ。しかも、この格差は一向に縮まっていない。JA福島では、「風評の解消は前進しておらず、平行線のまま」と指摘する。福島県産の食品の購入をためらう消費者も少なくなっているとはいえ無くなっていない。

復興支援関連のフェアでは福島県産として販売されるものの、なかなか定番販売にはつながらず、多くは国産表示で販売されるのが実情だ。これが他県産との格差の要因ともなっている。そのなかで一つの朗報が入った。イオンが3月2~4日の「にぎわい東北フェア」で東北、新潟、関東の約170店舗で福島牛を販売した。さらに3月2日から東京板橋のイオン板橋店で福島牛の定番販売を開始した。定番販売は、3月14日から福島県内5店舗(福島店、郡山フェスタ店、いわき店、相馬店、白河西郷店)でも始る。これは福島県、農水省、全農などの働きかけによるもの。福島県農産物販売課では、「これまでのフェアで美味しさを認識してもらったこと、国と県の働きかけで福島の応援をしてもらってきたことから定番販売につながった。もちろん、全頭検査や安全な生産体制の整備などイオンの品質規格基準をクリアしていることが前提」と話している。すでに福島県産の米では、全国約280の量販店で販売されており、フェアの実施店舗も2,300店舗まで拡大し点から線につながってきたことから、福島県牛肉についても、さらに拡大していく考えだ。

店舗数は少ないもののイオンなど大手量販店での定番販売が再開することで、他県産並みへの相場回復と本当の意味での風評の解消が期待される。

〈畜産日報 2018年3月12日付より〉