〈国内畜産生産者の取組み〉ブランド合鴨肉「倭鴨(やまとがも)」を生産/奈良・鴨重フーズ
鴨重フーズ(奈良・御所市、棚田徳重社長)は、自然豊かな奈良県・葛城山の麓にある鶏舎でブランド合鴨肉「倭鴨(やまとがも)」の生産を行っている。餌や飼育環境にこだわり、常時2,500羽を飼育し、週に230羽を出荷。「倭鴨」は東京や関西の外食店を中心に引合いが多く、「ニーズは着実に増えている」と話す棚田社長に現在の注力点などを聞いた。
鴨重フーズ 棚田徳重社長
棚田社長の父親が、約40年前にみかん山であった場所を拡張して鴨の飼育を開始したことから事業を開始した。当初は副業として、100~200羽規模で鴨の飼育を行っていたが、軌道に乗り始めたことから2~3年後に本格的に鴨肉の生産に取り組んだ。
「倭鴨」ブランドロゴ
合鴨肉「倭鴨」の肉質は取引先から「くさみがなく、旨みがある」と評価されている。鶏舎がある場所は風が常に吹いており、風が吹くと鴨が羽ばたき、ロース肉が発達することで肉質にも良い影響を与えているという。餌にもこだわっており、専用の配合飼料を与えている。「倭鴨」のおすすめの食べ方は、「両面の色が変わる程度にあっさりと焼くのが美味しい」という。
現在は主に外食チャネル向けに展開しており、関西だけではなく東京の外食店へも「倭鴨」を販売している。新規取引先は、シェフの口コミ、既存取引先の紹介などで広がっており、「販売を断ったこともあるが、ここ20~30年はこちらから営業活動をする必要がない」ほどの人気という。また、ネット販売も行っており、鍋や焼肉での調理がおすすめの「合鴨ローススライス」が人気を集めている。
完全予約制で直売も行っている。とくに衛生管理に注力しており、合鴨を飼育する際は、鳥インフルエンザなどに感染しないよう、外部から鶏舎に鳥や人、小動物などが入らないようにしている。さらに、餌を与える際には体調が悪い鴨を見分けられるよう、状態をしっかりと見て管理をする必要があるため、人の手で飼料が与えるようにしている。
また、鶏舎から全ての合鴨を出して、床に敷いている木粉を全て入れ替えるなど毎日3時間かけて清掃を行っている。近年の出荷羽数は、1週間当たり230羽前後と、鶏舎で飼育できる上限いっぱいの羽数で推移している。それでも、引合いの強さから、年間を通して品薄傾向だという。今後の生産体制の強化などについては、「後継者が決まれば、新たに(鶏舎など)設置することも計画してゆく」考えだ。
〈畜産日報 2018年4月9日付より〉
【関連記事】
・【国産豚肉の取組み】マエダポーク:豚肉のと畜・解体や豚肉加工品を販売
・飼料用米シンポ/養豚・養鶏事業者、コープデリ連合会の取組紹介
・〈注目企業〉アーケディアン オーガニック&ナチュラル ミートカンパニー 日本市場に本格進出