「彩の国黒豚枝肉研修会」実施、更なる改良に向け枝肉を視察/彩の国黒豚倶楽部

〈17年の出荷頭数は前年比9.3%増、量販店でのPR活動に注力〉
埼玉のブランド豚「彩の国黒豚」の生産農家などで組織する「彩の国黒豚倶楽部」(橋本雄二会長)は11日、群馬県・玉村町の(株)群馬県食肉卸売市場で「彩の国黒豚枝肉研修会」を実施した。同研修会では、生産者やJA全農さいたま関係者とともに、飼料会社関係者、群馬県食肉市場関係者などが参加し、枝肉の視察や市場内を見学した。さらに、他県産の黒豚枝肉との比較や国産豚の部分肉情勢についての勉強会が行われた。

はじめに橋本会長は、「枝肉研修会は年に1度開催しており、自分たちが育てた豚が枝肉になるのを見る貴重な場である。実際に現物を良く見て、それぞれが改善点や改良点を見つけ、今後の課題として研究していってほしい。また、同研修会で勉強したことを今後の肥育管理に役立てていきたい」とあいさつした。また、JA全農さいたま畜産酪農部畜産酪農課の松崎俊樹課長は、「17年度の彩の国黒豚の出荷頭数は4,872頭と前年比9.3%増となった。16年の実績は思うようにいかない部分があったが、17年度はその課題をクリアしてこの実績につながったと思う。量販店でのPRにも注力しPR活動を実施した結果、店舗との距離が縮まり、彩の国黒豚を扱っていこうという店舗も増えてきている。本日の研修会で実際に現場を見て、今後の生産活動に役立てていってほしい」と述べ、群馬県食肉市場営業部営業課の福島保課長も、「普段、生産者の方は枝肉を見る機会がないが、彩の国黒豚がますます発展するよう、本日の研修会を活かしてほしい」と述べた。

「彩の国黒豚」は、イギリス系バークシャー種が原種で、出荷頭数は年間約5,000頭。98年から県内5戸の生産農家で「彩の国黒豚倶楽部」を結成し、埼玉県が推奨する埼玉県優良生産管理農場制度に基づき、優良種豚の導入・専用飼料・統一管理のもと、肥育・出荷している。こだわりの専用飼料を使用し、肥育期間を約8カ月と通常よりゆっくりと肥育することで、筋繊維が細かく歯切れの良いやわらかな肉質となり、本来の風味と甘みがあるまろやかな脂肪が特長となっている。

午後には枝肉の視察、勉強会を行い、枝肉の視察では生産者は自分たちが出荷した枝肉をチェックしながら、市場サイドから格付結果の理由等の説明が行われた(=写真)。格付けでは、格付け基準のなかでも、肋張りやモモのハリ、肉色の薄さなどがポイントになると説明された。また去勢より雌の方が骨は細く、肉量が多いことから高値が付いているとした。勉強会では、他県の黒豚との比較として肥育期間や規格の違いを共有し、白豚も含めた、リキッド飼料についての効果・影響についても話し合われた。

国産豚の情勢についてでは、4月の豚価は国内で安定的な出荷が見込まれること、また輸入ポークの入荷量も安定していることから半ばまで価格は横ばいで、GWに向けて需要が盛り上がってくることから、後半から少しずつ上昇するとの予測があった。また白豚(一般豚)について、輸入豚の増加や決まった価格での取引が多いことから、今年度の価格上昇は期待薄であるとした。

主に埼玉県内で多く取り扱われている「彩の国黒豚」だが、展示会やPR活動を通して都内でも取扱いたいという商談も進んでいるという。また同倶楽部の笠原國行副会長は、「埼玉での黒豚飼育の歴史は古く、今後も“彩の国黒豚”のブランド価値を守っていきながら肥育に取り組み、生産し続けていきたい」とコメントした。

〈畜産日報 2018年4月13日付より〉

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