全肉連が18年度全国会長会議、情報共有で厳しい局面を乗り越える

全国食肉事業協同組合連合会・河原光雄会長
〈厚労省と意見交換、営業許可の重複是正など食肉業界の意見伝える〉
全国食肉事業協同組合連合会(全肉連、河原光雄会長)は9日、グランドニッコー東京台場で平成30年度(2018年度)全国道府県食肉事業協同組合・連合会会長会議を開催した。

河原会長は開催にあたり「厳しい状況が続いているが、情報共有しながら難しい局面を乗り切ってほしい。平成最後の夏は記録的な猛暑、台風、地震など各地で災害が発生した。食肉業界ではTPP問題、慢性的な人手不足、出荷頭数の減少に伴う国産牛肉仕入れ価格の高騰、食品衛生や軽減税率対応など厳しい状況が続くと予想される。全肉連では活性化のために、関係団体の支援を頂き、国産牛肉・豚肉の共同仕入れ事業、HACCP対応への事業など各種の事業を進めている。食肉業界全体では肉の日のキャンペーンなどを進めている」とあいさつした。

来賓あいさつでは農水省の富田育稔畜産部長が「今年は7月の長雨、9月の北海道地震、台風など災害が多かった。国としても対策を発表している。国際情勢ではTPPや日EU・EPAなど厳しくなっている。TPP11は12月30日に発効する。EPAも臨時国会で条約が議論される。国際情勢が厳しい中で、国内生産をしっかり守っていかなければならない。

TPP等政策大綱で、国内生産基盤の強化を図る。牛マルキン、豚マルキンの経営安定対策では、12月30日から補てん率を90%に引き上げる。牛肉では既に90%で行っているが、法制度として行う。国内生産をしっかりと維持していきたい。安心して国産を扱えるように、今まで通り国内の食肉の安定供給に御協力頂きたい。新たな国際環境下で、生産・流通・販売の国産食肉流通を盛り上げていきたい」と述べた。

会議では18年度中間報告が行われ、食肉流通経営体質強化促進事業では、食肉業界の信頼性向上のため、食肉・異業種関係団体との情報交換会、食肉表示などの講習会の開催、食肉表示などの適正販売指導の実施、適正表示に係るハンドブック作成・配布などを通じて信頼確保を図っている。ハンドブックについては、10月末に適正表示調査委員会を開催し「ハンドブック2019(仮)」の作成を進めている。食肉流通機能強化推進事業では、「食肉惣菜創作発表会」が12月1日に開催される。今年度は新たに食肉総菜・加工品などの共同発注事業、活力ある店舗作りのための成功事例の収集及び調査、個性的で活力ある店舗展開の支援を3つの柱として、活性化・多様な取組への支援を進めている。

国産食肉等新需要創出緊急対策事業では、低需要部位を使用した加工品の試作を5県において6商品を試作している。また畜産GAP認証取得農場及び小売店舗などの視察・調査を展開しており、1農場、1店舗視察調査を実施している。

国産食肉理解醸成食育推進事業では、7月に食育教材作成委員会を開催し、国産食肉食育教材の「食肉クイズ」を作成している。食品流通HACCPシステム普及推進事業では、事業推進を円滑に図るための委員会を開催しており、19年3月に達成目標の確認、自己評価を行う事業評価委員会を開催する。また食肉流通業界全体の衛生水準を向上させるため、食肉流通HACCP手法導入マニュアルの普及啓発に取り組むセミナーを全国45道府県で実施している。また適正巡回指導推進委員会、適正巡回指導も実施している。また共同購買・冷凍特選車両の斡旋販売では9月末までに20台を販売している。

食品営業規制については、10月2日に厚労省食品監視安全課と意見交換を行い、食肉販売店は食肉惣菜なども調理・販売する業態が多く、食肉販売業と飲食業(惣菜)の営業許可を重複しており、許可の簡素化や、食肉処理業と食肉販売業も類似性が多く、許可の簡素化を求めた。また、施設基準が各県により、格差が大きく、施設投資や作業効率の面で負担が大きくなっていること、HACCP導入の関連性からも是正を求めた。その他にも、食肉製造業と惣菜との区分の明確化、生食用牛肉の規格基準見直し、指導の是正などについて、食肉業界として意見を伝えたとした。

〈畜産日報 2018年11月13日付より〉