アグロスーパーが「お客様謝恩会」、19年の商品・マーケティング方針を紹介

アグロスーパー社 日本法人アンデス・アジア 髙宮アンドレアス社長
〈畜産では豚肉に加え鶏肉でのマーケット参入に注力、人手不足に対応した商品展開も〉
チリ最大の総合食品メーカー、アグロスーパー社の日本法人アンデス・アジア(東京都港区、髙宮アンドレアス社長)は10日、東京都内で取引先関係者70人を招いて「お客様謝恩会」を開いた。当日は髙宮社長が日頃の愛顧に感謝の言葉を述べたあと、畜産および水産マーケティングの各担当者が、それぞれ2018年の実績と19年の事業方針を説明した。開会にあたり髙宮社長は来年に向けた方針について、「現在、世界各国で持続性可能な生産・供給が求められている。アグロスーパーでは良い商品を提供するだけでなく、ポリシーでもある『環境に配慮した生産』『持続性可能な生産』に注力してきた。今後も持続性可能な生産体制をさらに拡大していく」との考えを示した。

畜産関係ではセールスマネージャーのホフマン・マシュー氏が、現在の輸出実績や販売状況、今年から提案を本格化させた鶏肉の状況、今後の展開などを説明した。それによると18年(1~11月)の実績は豚肉が35.4万t(5.6%増)、鶏肉は40.6万t(7.5%増)と、ともに生産・出荷数量ともに伸びており、それに伴い豚肉の輸出割合は前年から3ポイント上昇して50%に、鶏肉も同2ポイント上昇して22%とともに輸出が伸長しているとした。

販売状況や今後の展開を説明するセールスマネージャーのホフマン・マシュー氏

販売状況や今後の展開を説明するセールスマネージャーのホフマン・マシュー氏

このうち、豚肉ではバラや肩ロースといった基本部位に加え、レッグボーンや各種ファット(背脂、背脂トリミング、モモ脂、ショルダー脂)といった副産物も提案。さらに今年からは鶏肉の販売も本格化させており、飼料の生産から販売までを行う100%垂直統合システムや、温度・湿度管理といった独自の飼養管理方法「ブラックアウト方式」により、健康的かつ安全で安心な鶏肉の生産に努めているとした。エアチラー導入による温度管理の徹底により、ドリップの少なさや解凍歩留まりの良さなど、その品質の高さも評価されていると強調した。
 
19年の日本市場の方針では、引続き豚肉をメインとした展開をしつつ、鶏肉もマーケット参入に注力する方針とした。豚肉ではとくに、日本国内における人手不足に対応すべく、カットやスライスなど一次加工品に注力する。「いまはバラのスライス品については、どこのパッカーでも取り組んでおり、半ば既製品のようになっているが、アグロスーパーとしてはお客様のニーズを把握し、それぞれの要望に応じた規格に提供していく。たとえば、チャーシュー用にカットするなど、特定のお客様に特化した対応をしていく」(ホフマン氏)とした。鶏肉については、弾力性や品質の高さが評価され、「チリでもおいしいチキンが製造されていることを知らなかった顧客も多く、徐々に顧客が付いてきている」とし、今後はB/L(モモ正肉)を中心に、品質の高さを理解してもらえる顧客に特化した形で販売、ブラジルやタイなど他国産と差別化したマーケットへの参入を目指していく。
 
さらにTPPに向けても今後チリでの発効も見込まれることから、変化に対応した商品展開も行っていくという。同社の強みとする「持続性可能な生産体制」では、糞尿処理や工場廃水の再利用に取組み、引続き近隣住民・農家、地域社会との共存を図るとともに、日本の顧客との持続的な関係性を築いていきたいとし、今後の方針を示した。
 
アジアブランドマネージャーのバン・ケイシー氏からは、アグロスーパーのマーケティング目標として「ブランド認知度」「ブランド・ロイヤリティ」「セールスサポート」を掲げており、18年には▽展示会への出展▽広告やメディア、SNSを活用したマーケティング▽商品説明会や試食会――などの取組みを展開していることを紹介した。また、顧客へのセールスサポートの一環として、営業ツール用にブランドロゴが入った紙エプロンの提供などに新たに取り組んだことを紹介した。19年は、現在のマーケティング活動のより一層の強化と改善を図るとともに、顧客とともにプログラムを考案し、セールス活動を支援していく方針だとした。
 
〈畜産日報 2018年12月11日付より〉