肉用子牛の保証基準価格・合理化目標価格など諮問通り答申/畜産部会
なおTPP11発効に伴い、近年発動実績のない、旧来の買入・保管・受渡による市場介入・需給操作を行う牛肉・豚肉の価格安定制度(安定上位価格・安定基準価格)は廃止されるため、今回の畜産物価格では審議されなかった。今後、肉用牛・肉豚の標準的な販売価格が標準的な生産費を下回った場合に、差額を補てんする牛マルキン、豚マルキンにより交付金が交付され、畜産農家の経営を支えることになる。審議後の賛否表明では参加者全員が賛成し、諮問通りに答申した。
諮問された肉用子牛の保証基準価格及び合理化目標価格は、TPP11発効に合わせ、現在の経営の実情に即したものに見直すとされている。和子牛においては、生産費(基準価格)に市場取引価格換算係数、品種格差係数を乗じ算出する。和子牛の生産費は過去7年間(11~17年)の「支払利子・地代算入生産費」の平均値、平均飼養頭数(14.6頭)が含まれる10頭規模層以上の労働費、酪肉近で示している出荷月齢・分娩間隔の19年度到達値を反映する。2年目以降は基準価格に生産コストの変化率などを乗じて計算する。乳用種・交雑種の基準価格は、基本的には和子牛と同様だが、生産費の過半を占める素畜費の算定に当っては、直近のヌレ子価格の高騰を鑑み、乳用種算定の見直しを行った05年以降の13年間の平均値を反映させる。また分娩行為がないため、酪肉近で示している出荷月齢の19年度到達値のみを反映させる。
合理化目標価格は、輸入牛肉に対抗し得る肉用牛生産の確立を図るため、繁殖農家・肥育農家の生産の合理化によりその実現が必要な目標価格で、新たな算定に当っては、従来の1~3等級に4・5等級も加えて全等級により実施する。
〈畜産日報 2018年12月17日付より〉