いま“コンビーフ缶詰”が面白い 卵かけご飯専用、ユッケ風、シーチキン混合など新機軸で活性化/国分
専用商品も続々登場し、大ブームから、すっかり定着した卵かけご飯。その新たな食べ方を提案し、2018年、大ヒットにつながったのは、国分が17年8月に発売した缶詰「たまごかけごはん専用コンビーフ」だ。
肉を使った専用商品は他社にはなく、ボリューム感のある味わいが、それまでコンビーフを食べたことの無かった若年層の需要を掴んだ。大手コンビニでも軒並み採用されており、発売から約1年半を経た現在も前年比1.5倍の売上伸長率で推移中だ。
「コンビーフ缶詰のユーザーの半数以上が、50代以上。若年層の需要創出を目的に、再度活性化しようと発売に至ったのが『たまごかけごはん専用コンビーフ』だ。ユニークな商品名と使用用途はSNSで話題に火が付き、予想外の大ヒットにつながった」。こう語るのは、同商品の開発を担当した国分グループ本社マーケティング開発部の飯沼健夫氏。
“コンビーフマン”に扮し、展示会などでコンビーフ缶詰の啓蒙と拡販に努める飯沼氏は、豪州産牛肉の高騰を要因に過去2度に渡って実施した価格改定や需要自体の喪失により、市場が縮小傾向で推移するコンビーフ缶の活性化を目的に、新たな商品の開発を目指したという。
“コンビーフマン”に扮し啓蒙に努める、国分グループ本社・飯沼氏
〈「缶つま コンビーフ ユッケ風」の好調から用途が明確な“専用商品”を開発〉
発売から60余年、牛肉の代替品として需要を獲得後、コアなファン層に支えられてきたコンビーフ缶詰。業界3位の国分が発売する「K&K コンビーフ」も1951年の発売以来、料理素材、おつまみ、サンドウイッチなど、その汎用性の高さで市場に浸透してきたが、近年の売上は停滞傾向が続いていた。
1951年発売、汎用性の高さで市場に浸透してきた「K&K コンビーフ」
こうした中、「缶つま コンビーフ ユッケ風」が同社「缶つま」シリーズの売れ筋上位に入るなど、“つまみ”に特化したコンビーフ商品が人気を集めたことから、用途を明確にした専用商品の開発に至ったという。コンビーフを使ったレシピで人気の“卵”に着目し、専用商品を開発した。
「たまごかけごはん専用コンビーフ」は、牛肉100%のコンビーフをかつおと昆布だしで柔らかく仕上げた一品。従来品と比較して、脂肪分を3割減らし、容器には「缶つま コンビーフ ユッケ風」にも使用する新型のF3号缶を採用した。巻き取り鍵を使用する台形の枕缶と比較して、開封しやすく、中身が取り出しやすいのが特長だ。80g入り。
〈2019年は「シーチキンコンビーフ」で調味料メーカーとレシピ展開も〉
同商品の好調を受け、18年秋には「シーチキンコンビーフ」を発売。K&K商標110年の国分コンビーフと誕生60周年のはごろもシーチキンがコラボしたもので、両者を5対5の割合で混ぜ合わせた。当初、周年を記念しての限定販売だったが、「ありそうで無かった面白い商品」としてSNSで話題となり、売れ行きも好調に推移したことから通年販売を決定。今年は調味料メーカーとのレシピ展開も実施する予定で、コンビーフ缶詰のさらなる活性化へとつなげていく意向だ。