MLA、「オージー・ビーフ&ラム プロジェクションセミナー2019」を開催
MLA豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は13日、千葉市美浜区のホテルニューオータニ幕張で「オージー・ビーフ&ラム プロジェクションセミナー2019」を開いた。会場には250人を超える業界関係者が参加し、豪州の牛肉・羊肉産業の最新動向や、日本市場のトレンド、マーケティング活動について説明した。
セミナーでは、MLAアナリストのティム・ライアン氏が豪州の牛肉・羊肉産業の動向についてプレゼンを行った。それによると、牛肉に関しては、2018年の日本向け輸出量は31.6万tと前年比で8%増加し、3年連続で最大の輸出市場になっていると説明。また、18年は冷蔵・冷凍すべてのカテゴリーで伸長したという。部位別には、日本向け牛肉輸出に占めるフルセットの割合は減少している一方、日本のニーズに対応してパーツ単位での輸出が増加しており、パーツ単位での取引へと変化していることを強調した。
現地では干ばつに見舞われた結果、牛群が縮小傾向にあり、19年の畜牛の飼養頭数は前年比3.8%減の2,620万頭と減少を見込むという。それに伴い、と畜頭数(3.0%減・760万頭)と牛肉生産量(4.2%減・219万8,000t)も若干減少するとした。一方、降雨があれば平均的な水準まで回復が見込めるとし、今後2~3年にかけて回復傾向で推移すると説明した。
羊肉については、18年の日本向け輸出は前年比17%増の1万5,292tと14年以来1万5,000tを超えた。日本の羊肉市場はまだ小さいものの、輸出額は世界で7番目と重要な市場であるとした。現地では干ばつも影響し、19年の飼養頭数は6.1%減の6,773万頭と減少傾向にあるが、ラムは2021年にかけて生産量の回復を予測していると説明した。
その後、アンドリュー・コックス駐日代表が生産動向を踏まえた上で「気候条件により牛群減少などの制約を受けるが、日本に供給できる十分な牛肉は確保できている」と、今後の安定的な供給量をアピールした。
日本の消費トレンドについては、消費者調査の結果、食肉の購入動機として最も重要視されているのは「原産国」だったことを示すとともに、一般消費者に豪州産の牛肉は非常に好まれており、高品質で健康によいといった前向きなイメージを持たれていることを示した。また、消費者の間でオージー・ビーフのブランド認知度は高まっており、「TRUE AUSSIE BEEF」のロゴマークの認知度も50%以上にまで高まっていると強調した。さらに、現在の消費者のトレンドとして、▽ステーキ・BBQブーム▽健康志向の増加▽サステナビリティへの関心――を挙げ、そのトレンドはオージー・ビーフにとって有利な方向であるとした。
マーケティング活動では、18年はTVCMの放映が奏功したほか、夏には「レッツバービー」キャンペーン、冬にかけては、「Are you ゲンキ?」キャンペーンで、鉄分豊富なオージー・ビーフを訴求する取り組みを紹介。また、スポーツとオージー・ビーフを通じて日本の子どもたちをサポートする「元気キッズ!プロジェクト」についても紹介した。「19年も引き続き小売での販促やキャンペーンを展開していく」と方針を示した。
サステナビリティへの関心が高まるなか、豪州では率先して取り組み、2030年までにカーボンニュートラルな牛肉生産の達成を目標としているとした。14日にはスーパーマーケット・トレードショー(幕張メッセ)の会場で「サステナビリティ・フォーラム2019」を開催するなど、さまざまな機会を通じ、情報を発信していくとしている。
19年以降の日本市場について、「競争激化や経済状況、世界の貿易状況など、極めて重要な期間に突入する。しかし、TPP11の発効やラグビーW杯、東京オリパラなど、日本国内においては恵まれた機会が豊富にある」とし、「今後、我々は日本のパートナーの皆様とともに取り組んでいくことで、良い結果を出していきたい」とまとめ、関係者の理解・支援を求めた。同セミナーは今後、大阪(2月19日)、沖縄(21日)、札幌(3月19日)で順次開催を予定している。
〈畜産日報 2019年2月15日付〉