食肉販売業・小規模食肉処理業向けの衛生管理の手引書案とりまとめ

畜産日報 2019年3月20日付
〈3月22日の技術検討会で承認を得れば、7月までに配布へ〉
全国食肉事業協同組合連合会、首都圏食肉卸売業者協同組合、全国食肉業務用卸協同組合連合会は3月18日、平成30年度食肉流通HACCPシステム普及推進事業・事業推進委員会を開催し、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書案(食肉販売業向け、小規模食肉処理業向け)を取りまとめた。今後は22日に開催される厚労省の技術検討会で手引書案の内容が審議される。技術検討会で承認を得られれば、最終版をとりまとめ、7月までに手引書を配布する予定だ。

厚労省食品監視安全課の岡崎隆之専門官は「手引書について、22日に委員会が開かれる。また食品の営業規制に関する検討会、食品の衛生管理に関する検討会を開催している。両検討会ともとりまとめ案を作成し、パブリックコメントを募集している。営業規制では、食肉処理業と食肉販売業の関係では、食肉処理業の許可を得た施設で、食肉の小売販売を行う場合は、食肉販売業の許可は要さない。食肉販売業では、未加熱の半製品を調製する場合は追加の営業許可は要さない案を示している。調理して完成品を販売する場合は、これまで同様に飲食店の営業許可が必要となる。包装済みの食肉を販売する場合は営業許可ではなく、届出で対応できる案としている」と説明した。

食肉販売業向け、小規模食肉処理業向けの手引書案では共通して、HACCPの認知度を鑑み、一般衛生管理を基本に注意点をあらかじめ計画として明確にし、実施、確認・記録することなどを解説。イラストなどによりHACCPの考え方を平易に記述し、高度な内容が求められるものでないことも記述している。その上で、手引書のターゲットを対象となる事業者(規模や業態、衛生管理の対象となる食品(食肉、食肉半製品、惣菜など)を明確化している。記録書の具体的なイメージも明示している。一般衛生管理計画書の管理項目(大項目、順番)を処理業と販売業で統一し、共通様式化している。記録に際しては、項目の良否を丸で囲むのではなく、問題があった場合のみにレ点での記述とするなど簡素化している。衛生管理のポイント、必要性、問題があった場合の対応を簡潔に説明し、手引書を手順、留意事項として見やすい簡潔な様式で例示している。処理業では、手順書を2段階で例示している。

食肉販売業の手引書案では、対象事業者を食肉販売業及び食肉販売業と飲食店営業(惣菜)を併せ行う者とし、食肉販売業(加熱加工なし)のみでは一般衛生管理の実施し、計画書と記録書が必要となる。惣菜(加熱加工あり)も扱う場合は重要管理の実施も必要で、一般衛生管理の計画書と記録書に加え、重要管理の計画書が必要となる。

小規模な食肉処理業の手引書案では、対象事業者に数人から50人と幅があり、計画や手順書の見直し、認証など衛生管理レベルのステップアップが望まれることに留意しつつ作成されている。対象事業者は常時雇用が50人未満で、対象商品は食肉及び食肉半製品となり、食肉製品や半製品以外の加工品や惣菜は対象外となっている。加熱工程が含まれないことから、一般衛生管理のみ実施し、計画書と記録書が必要となる。手順書では、規模や実態に応じた取組みやすい手順事例とし、衛生管理基準のステップアップを図ることも念頭に置いた手順書例として2段階(簡易版、詳細版)の手順書を記載している。

〈畜産日報 2019年3月20日付〉